「AIは単なる業務効率化のツールではなく、人間の頭脳の一部を代替し得る存在である」
この事実を、多くのビジネスパーソンが肌感覚として理解し始めています。
これまで「人」と「組織」を専門に扱ってきた人事部ですが、AIの台頭によってそのミッションと求められるスペック(能力要件)は劇的な変容を遂げようとしています。
従来、人事責任者は社員一人一人の人間性を把握し、組合対策もできる、人事・労務畑の人材が担ってきました。しかし、HI(Human Intelligence:人間の頭脳)が担ってきた仕事がAIに置き換わっていく時代の変化の中で、人事責任者に求められる役割も一変しつつあります。
HIの仕事がAIに代替されるのであれば、「どこまでをHIが担い、どこからをAIに委ねるのか」という役割分担と棲み分けを設計することが、これからの人事責任者に課されるミッションとなります。
結果として、今後の人事トップには最高人事責任者(CHRO)と最高AI責任者(CAIO)を兼務できるようなスペックが不可欠になっていきます。
こうしたミッションの変化に伴い、人事トップのキャリアパスの常識も変わり始めています。今後は、従来の生粋の人事労務畑出身者だけでなく、「IT・デジタル技術に長けた人材が、人事労務の知識・経験・能力を後から獲得して人事トップに就く」というケースが増えていくと予想されます。
この変化は、すでにグローバル・国内の先進企業で現実の動きとなっています。
コロナワクチンで知られる同社では、すでにIT部門のトップが「人事・デジタル統合部門」のトップに就任。GPU(AIを動かすインフラ)への投資と、人間(HI)の採用・育成への投資を同じ視点で判断する体制を整えています。
日本企業でも、IT部門のトップをCHRO(最高人事責任者)と兼務させる人事を発表し、組織の垣根を越えた変革を進めています。
本社の同一フロアにデジタル部門と人事部門を配置し、中堅社員同士の「交差訓練(相互の業務やノウハウを学ぶ研修)」をスタートさせるなど、組織レベルでの融合を図っています。
HIとAIの境界が静かに溶け合っていくこれからの時代。経営陣に求められるのは、「人材採用に資金を投じるべきか、それともGPU(AIインフラ)の増強に資材を割くべきか」という、極めて高度でシビアな意思決定です。
「人間か、AIか」の二元論ではなく、両者の強みを最大化する組織をデザインできる人材。CHROとCAIOの領域を架橋できる新しいタイプの人事リーダーこそが、これからの企業の命運を握っていると言っても過言ではありません。
HIとAIの最適な棲み分けを設計し、時代の変化に強い組織をつくるためには、経営層・人事リーダー自身がAIの本質と活用の方向性を正しく理解することが不可欠です。
株式会社インソース より
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