日本人は、金融リテラシーが低いといわれている。
金融教育が進んでいないので仕方がない側面もあるが、銀行や証券会社、保険会社などの金融機関は、金融リテラシーの低さを利用して多くの顧客を損させていることを皆さんはご存知だろうか?
そこで今回は「銀行で損する日本人」というテーマで説明をする。
資産運用を検討する際、銀行や証券会社、保険会社などに相談をしたいと思う方は多いのではないだろうか。特に、銀行に関しては、日常をよく利用する金融機関になるので安心して相談ができると思っている方も多いはずだ。
しかし、銀行に相談する際は注意が必要だ。証券会社や保険会社はもちろんだが、銀行も決して安心して相談できる金融機関ではない。
なぜなら、顧客優先ではなく手数料が高いものを売りたいのが本音だからだ。以前に比べだいぶ改善されているとはいってもまだまだ顧客優先ではなく銀行本位のところがある。
銀行をはじめとする金融機関が収益を最優先している例を3つ紹介する。
①投資信託の回転売買
投資信託の回転売買とは、短期間のうちに何度も投資信託の買い替えをさせる営業手法のこと。購入手数料がかかる投資信託を顧客に交わせた場合、回転売買を行うために銀行などの金融機関に手数料が入る。手っ取り早く稼げる手法として多くの銀行や証券会社が実施していた。
今は金融庁から注意を受けたこともありかなり下火にはなっているが、いまだに行っている金融機関もありますので注意してほしい。回転売買を行ってしまうと手数料がかさみ利益を得るのが極めて難しくなるからだ。
例えば、手数料が3%かかる投資信託を年に3回乗り換えた場合、3%×3回=9%の手数料がかかることになる。
1年間で10%近い利益を出すのは極めて難しくなるので、回転売買がいかに顧客のことを無視した手法であるかがお分かりいただけるのではないだろうか。
②外貨建て終身保険の推進販売
外貨建て終身保険とは、米ドルやオーストラリアドルなど日本円に比べて金利が高い通貨を利用した保険をいう。金利が高いので為替が多少円高に進んでも利益が出るというのが売り文句になる。
外貨建て終身保険は決して悪いものではないが、中には非常に手数料が高い商品があるので注意して欲しい。銀行などの代理店は保険会社から見ると超優良顧客になるので、最も手数料を受け取れるランクに位置している。外貨建て終身保険を販売すると10%近い手数料が銀行に入ってくることもあるのだ。
これではやはり顧客は利益を出すのが難しくなってしまうので、外貨建て終身保険の推進販売も顧客目線に立っていないといえるだろう。
③金融庁に断罪された節税保険の推進販売
節税保険とは法人保険のことで、法人保険は使い方によっては利益の繰延ができるものになるが保険は、あくまで保障を得るものであって節税するためにあるものではない。
しかし、銀行は、法人保険の節税面のみを強調し多くの中小企業に販売をしてきた。この事態を重く見た金融庁から銀行は大目玉をくらった。
結果として法人保険の節税効果はなくなり、節税効果を強調され購入した中小企業が貧乏くじを引くことになってしまった。
このように、本来ある目的ではなく、うがった使い方をするのも銀行が信用できない大きな理由になるだろう。
今回は、銀行で損をする日本人をテーマに説明をした。現在、資産運用ブームが起きているが、日本人の金融リテラシーは総じて高いとはいえない。
金融機関は、金融リテラシーが低いことをいいことに手数料が高い商品を進めている。今はだいぶ改善されているとはいえ、このような実態があるので銀行で資産運用をする際は注意をしてほしい。
文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)