【元銀行員が語る】銀行員の出世事情とは?

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写真はイメージです…大手銀行が本店を構える東京・大手町で

銀行に入りたい学生は今も昔もに多い。安定しているイメージがあり、また収入も高いため多くの学生が志望するようだ。確かに銀行員の給料は、世間から見ると良い。しかし業務は非常に大変でかつ出世競争は苛烈を極めている。

そこで今回は銀行員の出世事情についてリアルな部分をお話ししよう。

支店長代理になることが第一目標

銀行員の初任給は決して高くない。メガバンクの場合、初任給は20万円ちょっとだ。ボーナスも1年間で100万円程度なので、世間一般から見ても決して高い金額ではない。しかし、若手の場合、給料の上がり方は非常に良いのだ。

毎年3万円から5万円程度基本給が上がるので、入行して5、6年目には年収600万円に到達する。しかし、ここから給料を上げるためには出世する必要があるのだ。

具体的には支店長代理になれるかどうかで今後の給料は大きく変わってくる。支店長代理と聞くとすごく偉い人のように聞こえるかもしれないが、支店長代理は銀行員として初めて就く役職だ。

では、この支店長代理になると年収はどのくらい上がるのだろうか。メガバンクによっても違うと思うが、大体200万~300万円程度年収は上がる。つまり600万円の年収からいきなり900万円になるということだ。

いかがだろうか。多くの方は凄いと思うのではないだろうか。しかし、この支店長代理になるのは結構大変だ。

大体入行して6年目になると支店長代理になる資格を得ることができる。しかし、同期が一律で支店長代理になれるわけではない。

同期の3分の1が支店長代理になれる資格を初めて得る6年目で支店長代理になる。3分の1と聞くと結構多くの人がなるイメージがあるかもしれないが、1年目で支店長代理になれない場合、その後支店長代理になる事はかなり大変だ。

なぜなら下からの突き上げがあるからだ。毎年、優秀な後輩が支店長代理になる資格を得るためその後輩と争わなければならない。

この競争に負けるとずっと支店長代理になれず40歳程度で出向してしまう人もいる。銀行でしっかり生き残るためにはまずは支店長代理になる資格を得た1年目で支店長代理になることが非常に重要になるのだ。

早慶、MARCHなど特別扱いはなし

1年目で支店長代理になることができれば、その後はグループ長や副支店長・支店長への道が開けてくる。大体年収は、グループ長や副支店長で1200万円程度、支店長で1600万円程度だ。

ちなみに、課長は支店長代理と同じ職責になりますので年収は変わらない。

もし支店長代理になれなかった場合、年収は600万円からほとんど上がらないので同期の間でもなんと1000万円もの差ができることになる。

同期の3分の1が、支店長代理資格を得る1年目で支店長代理になると説明したが、メガバンクの同期は非常に優秀な人が多い。この優秀な同期の中で、実績をしっかり残しておくことは非常に大変なので覚悟しておいたほうがよいだろう。

もちろん、東京大学や京都大学などの国立のトップ大学を卒業している人の場合、一般の銀行員とは違うルートを歩むので、ほとんどの人が支店長代理に1年目になることができる。

しかし、早稲田大学や慶応大学、MARCH(マーチ、明治、青山学院、立教、中央、法政の5私大)などの大学の場合、一切特別扱いはないので実力勝負だ。

支店長になるためには本部に行くのが近道!

多くの方が、せっかく銀行に入ったのだからせめて支店長にはなりたいと思っている方が多いだろう。

支店長はまさに一国一城の主。部下を自由に使うことができるため非常にやりがいのある仕事だ。

もちろん業績等の責任は全て支店長が負うことになるので大変な仕事ではあるが年収も高く、社会的立場も高いので多くの銀行員の憧れだ。

ではこの支店長になるためにはどのようにすれば良いのだろうか?

営業店である支店で実績を上げて支店長になる方もいるが、多くの場合は本部の花形部署から支店長になるケースが多い。

本部の花形部署に行くためには、やはり営業店での実績が非常に重要になる。営業店で図抜けた実績を上げることができれば本部の花形部署に異動することができるのだ。

若手のうちは仕事に没頭すべし

支店長になれるかどうかは入行して大体10年程度で決まるので、若手のうちはとにかく仕事に没頭した方が良いだろう。

支店長になれば、50歳前後で来る出向先も非常に恵まれたところになる。

メガバンクには企業年金が用意されている。企業年金の金額も支店長になることによって多くの金額をもらうことができる。豊かな老後を送るためにも、せっかく銀行に入るのであれば支店長を目指すべきだといえるだろう。

銀行は、一見すると安定した職場であると思われているかもしれないが、銀行で成功するためには出世が全てだ。順調に支店長代理になり支店長になることができれば、まずお金で困ることはない。

出世レースに乗れるかどうかは入行して10年でほとんど決まる。もし銀行に入るのであれば銀行の出世事情についてはしっかり知っておくようにした方が良いだろう。

文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)