日本酒や工芸品などの製造現場を体験「インバウンド」を取り込めるか

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訪日外国人旅行客(インバウンド)に、日本酒や工芸品などの製造現場を体験してもらう動きが現れてきた。

合同会社IW(福岡市博多区)が運営するハンズオンローカルSAKEは、2022年11月から、日本酒の酒蔵を体験できる「リアル酒蔵留学」を再開した。

日本文化の継承などに取り組んでいるCulture Generation Japan(東京都中央区)と、ピハナコンサルティング(東京都港区)は11月から、西陣織や竹籠など五つの工芸品の体験型ツアーの販売を始めた。

円安の進行や外国人の個人旅行客受け入れ解禁などに伴って、インバウンドの増加が見込まれており、今後こうした日本の伝統文化を体験する動きは一段と広まりそうだ。

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酒造りに関わった日本酒が自宅に

ハンズオンローカルSAKEの「リアル酒蔵留学」は、通常は立ち入ることのできない酒蔵の内部に入り、米が蒸し上がる様子や酒が発酵している様子などを体験できるほか、搾りたての新酒を味わうこともできる。

酒造り体験で関わった、でき立ての日本酒は、後日自宅に届く仕組みで、インバウンド向けに、海外発送にも対応する。

英語でのガイドが可能なほか、決済も海外のクレジットカードなどに対応しており、同社では「日本滞在の記念の一本として日本酒の魅力を旅後まで味わえる」としている。

日本人も楽しい

日本文化の継承などに取り組んでいるCulture Generation Japan(東京都中央区)と、ピハナコンサルティング(東京都港区)は11月から、西陣織や竹籠など五つの工芸品の体験型ツアーの販売を始めた。

ガイドとともにモノづくりの現場に入り、伝統技術を体験することができるもので、今後のインバウンド観光の活発化に向けて、英語での通訳ガイドも同行する。

ネットでの申し込みを受け付けるほか、JR京都駅に直結したホテルグランヴィア京都(京都市下京区)内にある京都の伝統文化を発信するショールーム「ATELIER JAPAN」に予約デスクを設置した。

訪問するのは、化粧土や釉薬などを素地の上に絞り出して盛るように紋様を描いていく「いっちん」の技法を用いて器づくりをしている洸春陶苑(京都市東山区)や、伝統的な織物の西陣織を手がけている、とみや織物(京都市上京区)。古くから伝わる竹細工「四海波籠」の製作を体験できる長岡銘竹(京都府大山崎町)。

さらに卓越した磨きの技術を体感しながら、美しく輝く螺鈿(殻の内側の光を放つ部分を薄く切って、漆器の表面にはめ込んだもの)の木箱を製作するNao 漆工房(京都市南区)。職人から手ほどきを受けながら石のテーブルランタンを製作する齊田石材店(京都府亀岡市)の5社。

日本の伝統文化を外国人に伝えようとする、これら取り組みは日本人が体験しても、十分に楽しめそうだ。

文:M&A Online編集部