客数減を値上げでカバー「CoCo壱番屋」コロナ前の水準を回復

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東京都文京区の店舗

カレーハウスCoCo壱番屋を運営する壱番屋<7630>の2023年2月期の業績が、コロナ前の2020年2月期の水準に回復する見通しだ。

同社が2022年4月6日に発表した2023年2月期の業績予想は、2020年2月期よりも3億500万円の増収、9300万円の当期増益となる。営業利益と経常利益は2020年2月期の実績を3億-5億円ほど下回るものの、ほぼ同水準と言える。

2022年6月に価格改定を行うことや、単価の高い配達代行の割合が増えることなどから、国内既存店売上高が前年度比16%増と好調に推移するほか、海外店舗も国によって状況は異なるものの、同16%増となるのが要因だ。

同社は2022年2月期の当初の業績予想を、新型コロナウイルスの影響が想定を上回ったことを理由に期中に下方修正した。2023年2月期も新型コロナウイルスの動向やウクライナ情勢などによっては、同様の修正が予想されるが、カレーは多くの人たちに親しまれる国民食の一つであるだけに、目標達成の可能性は低くはなさそう。果たして結末は…。

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カレーを33円値上げ

壱番屋の2023年2月期は、売上高518億円(前年度比15.1%増)、営業利益47億3000万円(同65.6%増)、経常利益51億4000万円(同23.3%増)、当期利益33億5000万円(同14.7%増)と大幅増収増益の見込み。

好調な業績を支えるのが価格改定で、6月1日にポークカレーやビーフカレーなどを33円値上げするほか、トッピング用のフライドチキンやメンチカツなども11円値上げする。

世界的な食材価格や、資源、エネルギー価格の高騰などに伴う様々なコストが上昇していることから、商品やサービスの品質を維持、向上させるため、値上げを決断した。

コロナ禍の中、配達代行が増えることもプラス材料となる。配達代行は単価が高いため、売り上げ、利益ともに押し上げ要因となる。

ただ来店客数はコロナ禍の影響で2020年2月期と比べると、6%ほど減少すると予想しており、客数の減少を、値上げと高単価商品のシェアアップで補う格好だ。

当初予想よりも40億円ほどの減収に

壱番屋の2022年2月期は、増収増益を達成したものの、当初予想よりも低い数字にとどまった。新型コロナウイルスの影響で、想定よりも時短営業が長期化したためで、売上高は40億円ほど、営業利益は11億円ほど、経常利益と当期利益は5億円ほど下回った。

現在、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少率が鈍化しており、増加に転じる兆しも見え隠れしている。壱番屋の想定よりも影響が拡大すれば、前年度と同様の状況に陥ることもあり得る。カレーはコロナに打ち勝つことはできるだろうか。

文:M&A Online編集部