デルタ株で終わりじゃない!新型コロナ「変異株」はいくつある?

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ワクチン接種が本格化し、収束に向かうと思われていた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。ところが思わぬ「伏兵」が現れた。「変異株」がそれだ。日本では「アルファ株」や「デルタ株」が知られているが、世界には何種類の変異株が存在するのだろうか?

新型コロナ変異株は、現在11種類

コロナウイルスは変異を繰り返しており、すでに多くの変異株が確認されている。世界保健機関(WHO)はこのうち、感染力や重症度、ワクチン耐性などで重大な被害をもたらしかねず、直ちに感染対策を打つべき「懸念される変異株(VOC)」と、VOCになる可能性があり監視を要する「注目すべき変異株(VOI)」を公表している。

現在、VOCには4種類、VOIには7種類、合計11種類の変異株が存在する。この他にも変異株は存在するが、WHOの監視対象にはなっていない。

VOCリスト (懸念される変異株)
名称 最初に確認された国 確認時期 指定日
アルファ 英国 2020年9月 2020年12月18日
ベータ 南アフリカ 2020年5月 2020年12月18日
ガンマ ブラジル 2020年11月 2021年1月11日
デルタ インド 2020年10月 2021年5月11日

最も警戒レベルが高いVOCには、英国で確認されたアルファ株や南アフリカで確認された「ベータ株」、インドで確認されたデルタ株などがある。アルファ株は日本で2021年4月に始まったコロナ感染の第4波を引き起こし、関西圏を中心に医療崩壊を招く結果になった。

国立感染症研究所(感染研)によると、アルファ株は従来型コロナウイルスに比べ感染力が30%程度高く、感染者に占める0歳から17歳までの子供の割合が2倍弱に増加したという。

日本にとって高リスクな「デルタ株」

そして現在、世界で猛威をふるっているのがデルタ株だ。東京大学医科学研究所の佐藤佳准教授が主宰する研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan」によれば、デルタ株には日本人に多く見られる細胞性免疫「HLA-A24」を回避する特性があるという。日本人にとって危険な変異株と言える。

デルタ株はワクチン接種が進んでいる英国などでも感染拡大が進んでいる。既存のワクチンを接種していれば重症化はしにくいが、感染するリスクは残るという。2回のワクチン接種を済ませていても、未接種者に感染させる可能性がある。未接種者の場合、50代以下の年齢層でも重症化するケースが目立つ。

政府CIOポータルによると、日本は6月28日時点でのワクチン接種完了率が7.09%と低い。デルタ株の感染が拡大すれば、過去の4波を上回る被害を出しかねない状況だ。

VOIリスト (注目すべき変異株)
名称 最初に確認された国 確認時期 指定日
イプシロン 米国 2020年3月 2021年3月5日
ゼータ ブラジル 2020年4月 2021年3月17日
イータ 複数の国 2020年12月 2021年3月17日
シータ フィリピン 2021年1月 2021年3月24日
イオタ 米国 2020年11月 2021年3月24日
カッパ インド 2020年10月 2021年4月4日
ラムダ ペルー 2020年12月 2021年6月14日

VOI変異株も油断できない。ペルーで感染が拡大している「ラムダ株」は感染力が強い上に、ワクチンの効果が大幅に低下する可能性も指摘されている。ワクチン接種が遅れれば遅れるほど、新型コロナワクチンの感染が長期化し、変異株が生まれる可能性が高まる。ウイルス変異とワクチン接種の「スピード勝負」と言えそうだ。

文:M&A Online編集部