もつ焼きに吸盤を伸ばした「銀だこ」その勝算は?

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写真はイメージです

たこ焼きチェーンの「築地銀だこ」を運営するホットランド<3196>は2021年12月に、エムファクトリー(東京都調布市)と、い志井(同)の両社から、もつやき専門店「日本再生酒場」や「もつやき処い志井」など11店舗から成る「もつやき・ホルモン・焼肉」事業を買収する。

これまで培ってきたノウハウや経営資源を、コロナ禍でも成長が見込める「もつやき・ホルモン・焼肉」事業と融合させることで、さらなる事業拡大につなげるのが狙いという。

買収する「日本再生酒場」と「もつやき処い志井」は、いずれも直近の決算で営業赤字に陥っており、ホットランドも新型コロナウイルス感染症拡大の影響で2021年12月期の営業利益は当初見込みの半分ほどに落ち込む。

果たして、ホットランドは思惑通り、買収によって成長軌道に乗ることはできるのだろうか。その勝算は?

両社ともに営業赤字

日本再生酒場は、昭和の活力あふれる日本の酒場をもう一度再生するという思いから生まれたもつ焼き店で、昭和風の店構えが特徴。

コロナ禍の影響で、2020年9月期の売上高は7億3100万円(前年度比28.8%減)、営業損益は9300万円の赤字(前年度は100万円の赤字)と厳しい状況にある。

もつやき処い志井は、昭和から続くもつ焼き店で、豚たんの刺身や、もつ煮込みなどを提供している。

2021年3月期の売上高は2億9300万円(前年度比32.2%減)、営業損益は5900万円の赤字(前年度は2100万円の黒字)で、こちらも日本再生酒場と同様に厳しい状況にある。

一方、買い手のホットランドは2021年7月に業績を下方修正し、当初13億6000万円だった営業利益を半分ほどの7億円に引き下げた。新型コロナウイルスの影響で営業時間の短縮や酒類提供の制限を受けたことなどから、売上高が当初予想よりも6.8%低い300億円に留まるのが要因だ。

買収によって事業拡大を目指すホットランドにとっては、本業の儲けを示す営業利益がコロナ前(2019年12月期の営業利益は16億6900万円)を上回ることが、超えるべき最初のハードルであり、まずは傘下に収める2社の営業段階での出血をどのように止めるのか、蓄積してきたノウハウが問われることになる。

2021年12月期の経常利益と当期利益は、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金などを計上するため、当初予想よりも11億円ほど上振れする見込みで、経常利益は25億円(前年度比約2.1倍)、当期利益は15億円(前年度は11億3800万円の赤字)と大幅な増益となる。

経常利益、当期利益はともに、コロナ前の水準(2019年12月期の経常利益は16億円、当期利益6億7800万円)を大きく上回っており、蓄積したノウハウを発揮するチャンスはありそうだ。

【ホットランドの業績推移】単位:億円、2021年12月期は予想

2019年12月期 2020年12月期 2021年12月期
売上高 324.34 287.32 300
営業損益 16.69 11.32 7
経常損益 16 12.04 25
当期損益 6.78 △11.38 15

文:M&A Online編集部