「築地銀だこ」のホットランド、最終赤字転落も本業の儲けはしっかり 

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写真はイメージです

たこ焼き「築地銀だこ」を主力とするホットランド<3196>が、最終赤字に転落することになった。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、不採算店の固定資産の減損などを特別損失として計上するためで、2020年12月期の当期損益は11億円強の赤字に陥る見込み。

ただ本業の儲けを示す営業損益は10億円を超える黒字を確保する見通しで、大打撃を受けている居酒屋などの業態と比べると健闘していると言える。もともと、たこ焼きはテイクアウトが多く、コロナに対抗できる“体質”を持つ。コロナ禍に見舞われた2020年12月期はどのような数字に落ち着くのか。

営業、経常は黒字確保

ホットランドは2021年2月5日に、それまで未定としていた2020年12月期の業績予想を公表した。それによると売上高は287億3200万円(前年度比11.4%減)、営業利益は11億3200万円(同32.2%減)、経常利益は12億400万円(同24.8%減)と減収減益ながら、黒字を見込む。

ただ当期損益は、不採算店の固定資産の減損などの減損損失9億5100万円、固定資産除却損4億5400万円、店舗整理損失2億8500万円、臨時休業などによる損失3億1500万円を計上するため、11億3800万円の赤字に陥る。

同社は当初2020年12月期の業績予想を売上高338億円(前年度比4.2%増)、営業利益20億円(同19.8%増)、経常利益19億1000万円(同19.4%増)、当期利益7億8000万円(同15.0%増)としていたが、コロナ禍の中の2020年4月30日に未定に変更していた。

同社の2020年12月期の決算発表が2021年2月15日に予定されており、数字が固まってきたことから業績予想を公表した。

粗利益率は60%強

この業績予想のベースとなるのは、すでに発表している2020年12月期第3四半期累計(2020年1-9月)の決算で、これに第4四半期(2020年10-12月)分を加えたものが、通期の数字となる。

2020年12月期第3四半期累積の損益計算書を見ると、売上高からタコなどの食材の仕入れ費用を差し引いた粗利益の売上高に対する割合(粗利益率)は60.7%で、前年同期の61.0%からわずか0.3ポイント低いだけで、飲食店で一般的と言われる60%は上回っている。

 2020年12月期の第4四半期(2020年10-12月)も、この数字は大きく変わることはないと思われる。

さらに営業利益を見ると、業績の回復傾向がはっきりと表れている。同社の第3四半期累計の営業利益は4億7700万円で、通期の営業利益予想が11億3200万円であることから、第4四半期(2020年10-12月)は、3カ月間で過去9カ月分を上回る6億5500万円を稼ぎ出す計算だ。

2020年10-12月は新型コロナウイルス感染者数が増加傾向にあり、飲食店にとって厳しい状況の中で、利益を伸ばしたことになる。

現在、飲食店に営業時間の短縮などを求める緊急事態宣言が10都府県に出されているが、新型コロナウイルスの新規感染者数が減少傾向にあることから、期限の2021年3月7日を待たずに前倒し解除の動きも出始めてきた。

コロナ後のたこ焼きビジネスはどのように変化するだろうか。全国的に人気の高い食べ物だけに、根強い需要がありそうだが…。

文:M&A Online編集部