ホテル、中古車、ラーメン「撤退」は続く

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上場企業による事業撤退が続いている。介護事業などを手がけるウチヤマホールディングス<6059>は2023年3月31日に、子会社が運営していたホテル事業から撤退する。

電力小売などのエネルギー事業を手がけるリミックスポイント<3825>も同日に自動車事業を廃止。葬儀事業を手がける燦ホールディングス<9628>は2023年1月末に子会社で行っていたラーメン店の直営事業から撤退した。

いずれもコロナ禍などの影響で収益力に問題が生じていたためで、本業に経営資源を集中させることで企業価値を高めるとの判断を下した。

ホテルの部屋を介護居室に変更

ウチヤマホールディングスは、子会社のさわやか倶楽部(北九州市)が運営している有料老人ホームを併設する温泉付きホテル「ホテルさわやかハートピア明礬」(大分県別府市)と「ホテルさわやか別府の里」(同)の営業を終了する。

新型コロナウイルス感染症の収束後の集客の回復見込みや今後想定される追加の設備投資などを総合的に判断した。ホテル事業の2022年3月期の売上高は1億2200万円で、セグメント損失は1億100万円に達していた。

撤退後は併設の有料老人ホームに特化した運営を行うとともに、ホテルの部屋の介護居室への変更やデイサービスセンターの新規開設などに取り組み、介護施設としての価値を高めていく。

リミックスポイントは中古車販売事業者を対象にした中古車の売買などに取り組んできた。同事業の2022年3月期の売上高は全社の15.8%を占めたが、経常利益の全社比率はわずか0.2%と低いため、同事業から撤退し本業に経営資源を集中させることにした。同事業にかかわっていた社員は配置転換するという。

燦ホールディングスは、葬儀に関わる料理の提供事業を多角化することを目的に、ラーメン店の直営事業を2016年に始めた。

子会社のエクセル・サポート・サービス(大阪市)を通じて「うまい麺には福来たる」の屋号で大阪市内に3店舗を運営してきたが、コロナ禍の中、収益構造が悪化し今後も黒字化のめどが立たないため撤退を決めた。

同事業の2022年3月期の売上高は4900万円で、売上高構成比は0.2%ほどしかなかった。今後、燦ホールディングスでは葬儀事業とライフエンディングサポート事業に集中する。

文:M&A Online編集部