政府は6月18日の臨時閣議で、菅義偉政権で初めてとなる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2021と成長戦略を決定した。骨太の方針では「活力ある中堅・中小企業・小規模事業者の創出」に向け、中小企業などの事業承継・再生の円滑化のための環境を整備する姿勢を打ち出した。
骨太の方針2021は6月9日、政府の経済財政諮問会議(議長・菅首相)で原案を取りまとめた。これに先立つ6月2日には、2020年10月に政府が新設した成長戦略会議(議長・加藤勝信官房長官)で成長戦略実行計画案と成長戦略フォローアップ案を議論した。
「活力ある中堅・中小企業・小規模事業者の創出」は「次なる時代をリードする新たな成長の源泉~4つの原動力と基盤づくり~」の指針の1つ。中小企業などの事業承継・再生の円滑化に向けた環境整備を、地域コミュニティーの持続的発展に結び付けている。
地方の中小企業などの事業承継をきっかけとして、地方をフロンティアと捉える都市部人材が移住・定着できるように取り組む考えも示した。
また、成長戦略実行計画にも、中小企業の円滑な事業承継を後押しすることを明記。中小企業がM&Aの支援を適切に活用できるようにするため、
①事業承継・引継ぎ支援センターの強化
②簡易な企業価値評価ツールの整備
③M&A支援機関に係る登録制度や自主規制団体の設立
など、支援機関の適切な取り組みを促す仕組みの構築を図ることを挙げている。
成長戦略フォローアップでは、事業承継・引継ぎ支援センターの事業承継診断を2021年度と2022年度に抜本的に見直す。2023年度からプッシュ型事業承継支援や後継者不在の中小企業と他者とのマッチングなどによる一体的な支援を強化するとした。
中小企業再生支援協議会でも2021年度中に、希望する事業者に事業再生支援の専門家を紹介する取り組みを始める。事業再生支援体制の強化に向け、専門家の育成なども検討する。
骨太の方針2021と成長戦略の各指針は、2022年度の予算編成や税制改正に反映される。菅首相は6月17日の記者会見で骨太の方針2021に触れ、「クリーン、デジタル、活力ある地方づくり、少子化対策の4つを成長の原動力とし、ポストコロナの強い経済をつくり上げる」と強調した。
文:M&A Online編集部
関連リンク(内閣府 経済財政諮問会議):
・経済財政運営と改革の基本方針2021
・成長戦略実行計画案
・成長戦略フォローアップ案