コロナ禍で苦戦が続く「HIS」「JTB」占いやNFTに挑戦

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コロナ禍の中、厳しい経営が続く旅行会社で、新しい事業開拓に向けた動きが広まっている。エイチ・アイ・エス(HIS)<9603>が、占いマッチングサイト「Ura Me」を立ち上げたほか、JTB(東京都品川区)は、NFT(非代替性トークン=動画や音声などのブロックチェーン上にあるコピーできないデジタルデータ)を活用した工芸産地支援サービスを始めた。

新規感染者数が過去最高を更新するなど、新型コロナウイルス感染症が急速に拡大しており、旅行需要が本格化するのは、まだまだ先になりそう。それだけに、新しい事業の開拓は、旅行会社にとっては差し迫った課題。今後も新しいアイデアが次々と生まれそうだ。

占い師がスキルを高められる場として活用

HISは、クラウドコンピューティングサービスの導入支援などを手がけるベンジャミン(東京都中央区)と提携し、スキルを高めたい占い師とユーザーをつなげるマッチングサイト「Ura Me(ウーラ・ミー)」を立ち上げた。

在宅時間が増加し、スキルアップに時間を費やす人が増えているため、需要が増加している「占い」にターゲットを絞ったもので、フリーランスの占い師がスキルを高められる場として活用してもらうのが狙い。

占い師が「Ura Me」内に専用ページを作成し、自身の占い手法、占いが可能な日時、料金を記載することで、ユーザーから直接依頼が入る仕組みで、コロナ禍で悩みや不安を抱えている人が、相談相手として占いを気軽に利用できる環境を目指すという。

琉球びんがたをNFT化

JTBとカード会社のジェーシービー(東京都港区)の合弁会社であるJ&J事業創造(東京都港区)は、コンサルタント事業を手がけるピハナコンサルティング(東京都港区)と連携し、伝統工芸品などを活用することで、新たな収益機会の創出を支援するサービスに乗り出した。

第一弾として、琉球びんがた(沖縄の最も代表的な伝統的手染物)ラベルの泡盛購入権付きNFT(非代替性トークン=動画や画像、音声などのブロックチェーン上にあるコピーできないデジタルデータ)を販売しており、NFTの購入者には、琉球びんがた工房を訪問する権利も合わせて付与し、来訪者と産地の交流機会を創り出す。

琉球びんがたは、沖縄県の無形文化財、国の伝産品に指定されており、今回は熱帯、亜熱帯の花であるサガリバナの本染め商品をNFT化した。同グループでは、今後もNFTや伝統工芸品を活用して、観光資源の開発や地域課題の解決に取り組んでいくとしている。

文:M&A Online編集部