Hedge Fund(ヘッジファンド)という言葉は、ゲルマン系の語とラテン系の語が合わさって出来ています。"hedge" はもともと「生垣」の意味で、「塀」、「境界」、「障壁」といった意味から、金融界では「両賭けすること」、「金銭的損失に対する防御」を意味するようになりました。"hedger" は「二股をかけて投機する人」を指します。
古英語 hegge の原義は「(サンザシの木の)垣根」です。現代英語でサンザシを "haw" と言いますが、サンザシは垣根になりやすい木です。「緋文字(The Scarlet Letter)」を書いた19世紀前半の米国小説家、ナサニエル・ホーソーン(Nathaniel Hawthorne;1804-1864)氏の姓は、「サンザシ(haw)」の「トゲ(thorn)」という意味になります。
さて、Fund(ファンド)の語源ですが、こちらはラテン語の fondus で「底」、「ひとかけらの土地」が起源です。「底」というイメージから「基金」、「資金」となり、イギリス英語の「公債」「国債」の意味に発展しました。
この形容詞形が "fundamental" (基本的な)で、複数形の「fundamentals(ファンダメンタルズ)」は、金融記事でおなじみの用語です。fundに「繰り返し」や「強調」を表す接頭辞 re- がついた "refund" は「払い戻し」です。"funded debt" は「固定負債」、"fund holder" は「国債・公債の所有者」です(最近 "bond holder" という方が多いようですが)。
この動詞形が "found" (基礎を築く)で、その名詞形が "foundation" です。foundは「基礎」、「土台」、「基金」、「財団」などの意味になりました。「国際交流基金」は Japan Foundation といいますね。また「土台」の意味から、化粧や下着などの分野でも「ファンデーション」が使われるようになりました。
「元祖」や「創立者」は、"founder"(ファウンダー)といいます。こちらの found に「前方」を意味する接頭辞 pro- がついた "profound" (深い)、その名詞形 "profundity" (深さ) もよく使われる語です。また "unfounded" は「根も葉もない、根拠のない」という意味です。
文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A Online編集部