「仮想通貨」高性能マイニングマシンで金脈を掘り当てる?

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GMOインターネットが売り出した高速処理、低諸費電力のマイニングマシン

GMOインターネット<9449>が10月末に出荷を予定している仮想通貨のマイニングマシン「GMO マイナー B2」の引き合いが好調だ。西欧やアジアはもちろんロシアやアフリカ諸国などからも問い合わせが寄せられており、仮想通貨のマイニングに対する関心の高さが分かる。

同社では7月にドバイ、フランフルト、チューリッヒ、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、モスクワで説明会を開く予定で、全世界への売り込みに力を注ぐ。

マイニングがなければ仮想通貨の仕組みが成り立たたない

マイニングとは不正を防ぐため、取引の承認や確認作業を行うことを指す。具体的にはコンピューターでビットコインの取引をチェックし、ブロックチェーンという取引台帳に追記していく作業のことをいう。

この作業を行うことで報酬としてビットコインを獲得できるため、鉱物資源を採掘するのと似ているため、マイニングと名付けられた。

ブロックチェーンは鎖のようにつながった無数の取引記録(ブロック)を複数に分散して監視するシステム。一つのブロックは、その前のブロックのある値を使用して形成されるため、ブロックを改ざんすると、それ以降の無数につながっているブロックの値をすべて変更しなければならないため、改ざんは難しい。

マイニングの作業を行うには大量の計算が必要なため、高性能なコンピューターが必要となり、コンピューターを稼働させるための電気代もかかる。

最初にブロックを追加することに成功した人だけに報酬が支払われるため、マイニングに成功しなければ装置の購入費や電気代を賄いきれず、赤字になることもある。当初は個人がこの作業を行っていたが、最近は大規模な設備を持つ企業によるマイニングが主流となっている。

ビットコインの総発行量は2100万ビットコインと決められており、2018年6月時点では、10分ごとに12.5ビットコインを報酬として受け取ることができる。現在1ビットコインの相場は65万円ほどのため、10分ごとに800万円強分の報酬が発生する。

マイニングの対価として報酬が発生するのは、ビットコインのネットワークを維持するための作業に参加してもらっているためで、マイニングがなければ仮想通貨の仕組みが成り立たなくなる。

高性能機器でマイニングの成功率が上がる?

GMOインターネットが売り出した仮想通貨のマイニングマシン「GMO マイナー B2」はビットコインとビットコインキャッシュのマイニングが行える装置で、これまでの装置に比べ処理スピードが速く、消費電力が低いのが特徴。

マイニングを行うのに必要な処理能力を示すハッシュパワーは毎秒24兆回で、これまでの代表的なマイニングマシンのよりも高く、計算速度が大幅に高まった。消費電力は1950ワットで、1兆回当たりの消費電力81ワットと他のマイニングマシンよりも最大で20%の省電力となる。


マイニングマシンの心臓部の電子基板は最先端の7ナノ メートル(ナノは10億分の1)プロセスで作られたASIC(特定用途向けIC)を搭載した。

さらにマイニングを行うにはマイニングマシンをネットワーク機器につなぐ必要があるが、最大32台の接続が可能なため、ネットワーク機器にかかるコストを最大55分の1に抑えることができる。

処理スピードが上がることはマイニングの成功率が上がり、収入が増えることを意味し、消費電力が下がり、ネットワーク機器のコストが下がることは支出が減ることを示すため、「GMO マイナー B2」を用いることでマイニングの採算性はよくなるといえる。価格は1999ドル(約22万円)で、7月以降は毎月変動し、申し込みが出荷量を上回った場合は抽選になるという。

金融庁による規制の強化に伴い、仮想通貨交換業者の撤退やM&Aが相次いでいるが、マイニングは仮想通貨の仕組みそのものともいえるもので、この分野での規制などの動きは見られない。個人でのマイニングは厳しい状況にあるが、高性能機器を駆使して金脈を掘り当ててみる?

文:M&A Online編集部