ファミレスの「ロイヤル」が最高額 外食業界の2019年のM&A

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2019年(2019年1月1日-12月19日)の外食・フードサービス業界のM&Aは29件となり、2008年の26件を上回り2008年以降の12年間で最多となった。クリエイト・レストランツ・ホールディングス(HD)<3387>グループが全体の20%強を占める6件のM&Aを実施したことで件数が伸びた。 

一方、金額は約419億円で2008年以降の12年間では上位から5番目にとどまった。100億円以上が1件だったほか、金額非公表などが19件に達し全体の65%を占めたことから、12年間の年間平均レベル(約433億円)に落ち着いた。  

クリエイト・レストランツが6件実施

2019年のM&Aでもっとも金額が高かったのはロイヤルホールディングス(HD)<8179>が、西洋フード・コンパスグループ(東京都中央区)から高速道路のサービスエリアなどの食堂、売店事業を取得する案件(取得金額155億円)だった。

西洋フードは子会社と合わせ、海老名サービスエリア、海ほたるパーキングエリア、足柄サービスエリアなど12拠点で事業を運営している。 

西洋フードが事業の受け皿となる新会社シーエフエス(東京都中央区)を設立し、ロイヤルHDは第一段階として2020年2月1日にシーエフエスの株式50%を取得し、2021年12月1日に66.66%、2022年12月1日に94.99%まで持ち株比率を高め、2023年12月1日に100%を取得する。 

金額2位から4位まではいずれもクリエイト・レストランツ・HDの案件。2位は北米でイタリアンレストランを展開する米国のイルフォルナイオの子会社化(約80億円)、3位は北関東で和食レストランを展開する、いっちょう(群馬県)の子会社化(約70億円)、4位は西洋フード・コンパスグループのゴルフ場内のレストラン運営事業などを取得(約58億円)する案件だった。 

これら3件の合計金額はロイヤルHDの155億円を上回る約208億円に達した。このほかにもクリエイト・レストランツは金額非公表の案件が1件ある。さらに同社子会社のSFPホールディングス<3198>が2件のM&A(金額は非公表)を実施しており、グループの合計件数は6件となった。 

1社による複数M&Aとしては、フジオフードシステム<2752>による沖縄でステーキレストラン「SAM’S」8店舗を運営するグレートイースタン(沖縄県)の子会社化(約27億円)と、そば専門店「土山人」7店舗を運営する暮布土屋(兵庫県)の子会社化(金額非公表)があった。 

このほか10億円以上の案件として、オイシックス・ラ・大地<3182>によるビーガン(完全菜食主義者)向けの料理キット宅配サービス事業を手がける米国Three Limesの子会社化(約23億円)があった。

外食・フードサービス業界の2019年M&A(金額10億円以上) 金 額(億円)
ロイヤルホールディングス、西洋フード・コンパスグループからサービスエリアなどの食堂・売店事業を取得 155
クリエイト・レストランツ・ホールディングス、北米でイタリアンレストランを展開する米国のイルフォルナイオを子会社化 80
クリエイト・レストランツ・ホールディングス、北関東で和食レストランを展開する「いっちょう」を子会社化 70
クリエイト・レストランツ・ホールディングス、西洋フード・コンパスグループからゴルフ場内のレストラン運営事業などを取得 58
フジオフードシステム、沖縄でステーキレストラン「SAM’S」8店舗を運営するグレートイースタンを子会社化 27
オイシックス・ラ・大地、ビーガン(完全菜食主義者)向け料理キット宅配サービスの米国Three Limesを子会社化 23

文:M&A Online編集部