丸亀製麺のSONOKO買収は詳細を知ると”意外”から”納得”に変わります

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Photo by fuwablog

要点:丸亀製麺を運営するトリドール<3397>は、5月11日に美白で有名なSONOKOを30億円で買収しました。最初に耳にしたときは「丸亀の製粉技術が美白に転用できるのか?」などと考えてしまいましたが、そんな小さな話ではありませんでした。”無添加食品”、”中国事業”、”通販”。このあたりのマーケティング戦略があるようですね、という話です。

■SONOKOは化粧品よりもオーガニック食材に強みあり

 30代から40代の方は、鈴木その子さんというキャラクターに強烈なイメージを持っているはずです。軍用かと思うほど強烈な照明機器を顔に当て、皺一つない真っ白な肌をテレビに曝していました。そのため、SONOKOブランドと聞くと、化粧品、それも美白のイメージを強くもっているものです。

なので、トリドールがSONOKOを買収したと聞いてもいまいちピンときませんでした。それでも買収額は30億円、結構本腰を入れている様子。気になっていろいろ調べてみると、しっかりとしたマーケティング戦略に裏打ちされた買収劇だったと納得するわけです。

 今回の買収には、理由が4つありそうです。
1:無添加食品という新たなブランド作り
2:富裕層、シニアの囲い込み
3:通信販売チャンネルの確保
4:中国への進出

■SONOKOの起源は無添加食材でした

 化粧品やサプリメントで知られるSONOKOですが、1974年創業時は食品添加物を使わない銀座のレストラン(カフェ)でした。食材・食料品の通信販売は、主力事業となっています。

公式サイトを見るとオーガニック野菜やお米、調味町、弁当など、多角的に展開しています。丸亀製麺は格安・カジュアル路線の食品を提供していますので、それとは真逆の高級・ハイクオリティブランドとしての地位を確立できるわけです(1の無添加食品という新たなブランド作り)。

無添加食材は富裕層やシニア層に人気です。SONOKOは会員制度によってそうした層をすでに囲い込んでいます。ファミリー層に広く受け入れられた丸亀製麺は、新たな顧客層をごっそり(30万人)と獲得できたわけです(2の富裕層、シニア層の囲い込み)。

マーケティングにとって販売チャンネルの拡大は非常に重要です。飲食店展開が主軸のトリドールにとって、通信販売のノウハウを手に入れたのは大きいでしょう。倉庫を始めとした物流網も抑えることもできました。家の外に出る顧客が少なくなるという、これからの高齢化社会を見据えた戦略とも捉えられます(3通信販売チャンネルの確保)。

SONOKOは2009年から中国に進出しています。丸亀製麺は中国戦略を進めていますので、SONOKOの現地法人が店舗展開に向けた情報収集、人材確保、現地のPRに繋がるものと考えられます(中国進出)。

■2025年度に5000億円企業を目指すトリドール

  トリドールは3025年度に売上高5000億円に引き上げる計画を立ち上げています。ちなみに2016年3月期は955億8700万円。確実に成長しているものの、このスピード感で5000億円企業に成長させるには、M&A戦略が不可欠。

今回の買収を足がかりに、多角的企業として世界戦略を進める今後が楽しみですね。

【関連News】

トリドール が5月12日午前(10:45)に決算(国際会計基準=IFRS)を発表。16年3月期の連結税引き前利益は前の期比2.2倍の81.1億円に急拡大し、従来予想の60.9億円を上回って着地。17年3月期も前期比5.7%増の85.8億円に伸びを見込み、2期連続で過去最高益を更新する見通しとなった。

本記事は、「ブログ ビールを飲む理由」より転載しております