世界で多発する「山火事」、どうして起きるの?

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世界各地で大規模な山火事が多発している。今夏、その最たる例はイタリア、ギリシャの南欧やトルコだ。そもそも、山火事はなぜ起きるのか。地球温暖化など気候変動とはどういう関係があるのだろうか。

日本では「不注意」が主な原因

まず日本での山火事の状況をみてみよう。林野庁によると、年間の発生件数は約1200件(2015~2019年の平均)。全国で毎日約3件の山火事が起きている計算だが、全体のおよそ7割は空気が乾燥する冬から春(1~5月)にかけて集中しているのが季節的な特徴だ。

その原因は「たき火」が約30%と最も多く、「火入れ(野焼き)」17%、「放火(疑いを含む)」8%、「たばこ」5%、「火遊び」2%などが続く。日本では山火事の多くが人間の不注意など人為的原因による。林野庁は「落雷など自然現象によるものはまれ」としている。

高温乾燥に端を発する「自然発火」

これに対し、世界各地で頻発している大規模な山火事は事情を異にする。自然発火が主たる原因となっているからだ。とりわけ今夏は記録的な熱波が南欧など地中海沿岸を襲い、高温乾燥状態が続いていたことが挙げられる。イタリア南部のシチリア島では48.8度を観測したことが伝えられた。

自然発火は一般に、森林内に積もった枯れ葉や枯草が擦れ合って起き、周りの木々に燃え広がって山火事を引き起こす危険がある。海外の山火事はスケールが大きく、ひとたび発生すると何週間も燃え続けることが少なくない。

日本の場合は、全般的に湿度が高い気候であることが幸いし、自然発火による山火事は比較的限られる。今年2月下旬に栃木県足利市で起きた山火事は鎮火までに23日かかったが、これはたばこの不始末による人為的な原因とされている。

CO2発生の悪循環に

では、地球温暖化とはどう関係しているのか。火事が起きると、温暖化の主因とされる二酸化炭素(CO2)を吸収する植物が失われるばかりでなく、燃焼によってCO2を発生する悪循環となり、結果として温暖化の進行につながりかねないのだ。

森林のない、はげ山になると、保水能力が低下し、台風や集中豪雨による土砂崩れなどの自然災害が起きやすくなる。動物や昆虫など生き物の住みかが脅かされる。さらに一度焼失した森林が復元するまでに長い年月を必要とすることは言うまでもない。

文:M&A Online編集部