2年連続で過去最低を更新か 外食・フードサービス業界のM&A 

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写真はイメージです

コロナ禍の中、厳しい経営環境に晒されている外食・フードサービス業界で、M&Aが2年連続で過去(2013年以降の10年間)最低を更新しそうだ。

同業界の2022年1月から同6月14 日までのM&A件数は4件で、2021年の13件(1-6月は7件)の3分の1ほどに留まっており、取引金額も5295万円で、2021年の50億3100万円(1-6月は21億3900万円)の100分の1ほどに減少している。

M&Aは年の後半に増える傾向にあるが、現状を見る限りは、件数、金額ともに過去(2012年以降の10年間)最低だった2021年を下回る公算が高い。

日本では外国人旅行客の受け入れが始まるなど、日常が戻りつつあるものの、外食・フードサービス業界で、業容拡大のためのM&Aが増加に転じるには、もうしばらく時間がかかりそうだ。

外食・フードサービス業界のM&A推移

4件中3件は子会社の売却案件

M&A Onlineが、全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&Aデータベースの情報を基に集計した。

それによると、コロナ前の2019年のM&Aは31件で、2012以降の10年間では最も多かった。金額は419億9700万円で、2014年の1137億1400万円、2015年の4607億に次ぐ3番目に高い数字となっていた。

それが、新型コロナウイルス感染症が広まった2020年には件数が18件に減少。翌2021年はさらに減少し13件に落ち込んだ。金額の方も同様の傾向で、2020年は170億8100万円、2021年は50億3100万円となり、件数、金額ともに2年連続で減少した。

2022年は一段と冷え込んでおり、4件中3件は子会社の売却案件で、このうち2件は海外子会社の売却だった。さらに買収案件も、のれん分けした企業をグループ内に取り込んだもので、業容の拡大や、新業態への進出などの積極的なM&Aは見られなかった。

取引金額が最も多かったのはジェイグループホールディングス<3063>がハワイの飲食店子会社NEWFIELD HONOLULU(ホノルル)を譲渡した案件で、譲渡価格は3300万円だった。2020年からの世界的なコロナ禍の影響で業績が低迷していたため売却に踏み切った。

文:M&A Online編集部