コロナ禍を跳ね返す「ユニクロ」と「しまむら」その要因は?

alt
東京駅近くのユニクロ店舗

コロナ禍の中、アパレル上位2社の業績が好調だ。ユニクロを展開する国内最大手のファーストリテイリング<9983>の2021年8月期は60%を越える営業増益となる公算が高く、同2位のしまむら<8227>の2022年2月期は2期連続の増収増益の見込みだ。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、数字は当初予想よりも下回るものの、需要が順調に拡大しているほか、巣ごもり需要の取り込みにより売り上げが大幅に増えていることなどが要因だ。

新型コロナワクチンの接種が進み、年内には希望する日本人全員に行き渡ることが見込まれており、個人消費急増の波に乗って、さらに業績が上向くこともありそうだ。

コロナ収束後の反動需要も

ファーストリテイリングが7月15日に発表した2021年8月期第3四半期決算によると、売上高は1兆6980億8200万円で、前年同期比9.9%の増収となった。

これに伴って、営業利益は同72.1%の2278億9700万円と大幅な増益を達成。税引き前利益は同72.5%増の2456億5400億円、当期利益は同67.0%増の1513億5100万円といずれも70%前後の増益となった。

通期の予想は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、東京都や大阪府、神奈川県などに発出されている緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が8月22日まで延長されたことなどから、売上高、営業利益で3%前後下方修正したものの、売上高は前年度比7%増の2兆1500億円、営業利益は同64.0%増の2450億円と増収増益を見込む。

さらに税引き前利益は同71.8%増の2627億円を見込み、当期利益は同82.6%増の1650億円と、80%を越える増益を予想する。

期の前半は在宅需要に合った商品が伸びたほか、第3四半期の3カ月間はTシャツ、感動パンツなどの夏物商品や、ラウンジウエア、ウルトラストレッチアクティブパンツなどの商品が伸びた。

また、中国で新型コロナウイルス感染症収束後の反動需要が見られたほか、米国や欧州、東南アジア、オーストラリア、インドなどでも好調に推移した。

【ファーストリテイリングの業績推移】単位:億円、2021年8月期は予想

2019年8月期 2020年8月期 2021年8月期
売上高 22905.48 20088.46 21500
営業利益 2576.36 1493.47 2450
税引き前利益 2524.47 1528.68 2627
当期利益 1625.78 903.57 1650

巣ごもり需要で反転

しまむらは2018年2月期から2020年2月期までの3期連続で減収減益を余儀なくされていたが、2021年2月期は、巣ごもり需要に対応した商品の売れ行きが好調で、4期ぶりに増収増益を達成した。

売上高は5426億800万円で、前年同期比4.0%の増収を実現。損益は営業利益が380億2600万円(前年度比65.4%増)、経常利益394億400万円(同65.2%増)、当期利益261億6300万円(同99.3%増)と大幅な増益となった。

2022年2月期については、前年度と同様に巣ごもり需要などが続くと判断し、2期連続の増収増益を見込む。同社が2021年6月28日に発表した2022年2月期第1四半期決算では、売上高は前年同期比33.2%の増収、損益は営業、経常、当期のいずれの段階も黒字転換し、好調なスタートを切った。

主力のしまむらでは来店客数が増加し、他の事業でもバッグや帽子などの服飾雑貨、入園入学用品、インテリア、調理、収納用品、キッチン・ランチ用品、婦人・紳士靴など幅広い分野で売れ行きが好調だったのが要因という。

同社では2021年4月に公表した2022年2月期の業績予想を変更しておらず、売上高は5548億3700万円(前年度比2.3%増)、営業利益386億4600万円(同1.6%増)、経常利益395億9400万円(同0.5%増)、当期利益262億7700万円(同0.4%増)を見込む。

第1四半期の好調さを見ると、上振れの可能性は高そうだ。

【しまむらの業績推移】単位:億円、2022年2月期は予想

2020年2月期 2021年2月期 2022年2月期
売上高 5219.82 5426.08 5548.37
営業利益 229.85 380.26 386.46
経常利益 238.55 394.04 395.94
当期利益 131.25 261.63 262.77

文:M&A Online編集部