【食べるM&A】ヤマザキビスケットとナビスコを食べ比べてみた

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いよいよ開幕したサッカーW杯ロシア大会。日本の初戦も目前に迫り、世の中のサッカー熱も上がっているところですが、その延長で日本国内のカップ戦にもぜひ注目を。
先週プレーオフ戦が終了し、9月に行われる準々決勝進出チームが出そろった「YBCルヴァンカップ」は、国内三大タイトルのうち唯一企業名を冠しています。Jリーグに疎い人でも「ヤマザキ・ナビスコカップ」「ナビスコカップ」と聞けばピンとくるはず。第1回開催時からヤマザキビスケット(YBC、旧ヤマザキ・ナビスコ)が冠スポンサーとなっていますが、この大会名称変更の背景には米モンデリーズ・インターナショナルとのライセンス契約終了がありました。 今回は、サッカーファンも騒がせた「ナビスコショック」後のヤマザキビスケットの商品とナビスコ商品を編集部の“舌”で検証してみます。

そもそも「ナビスコショック」とは?

山崎製パン傘下で製菓事業の中核を担っていた旧ヤマザキ・ナビスコ。業績も順調であった2016年2月、大きな転機を迎えました。同社で製造・販売してきた「リッツ」や「オレオ」などのナビスコブランド4商品について、米モンデリーズ・インターナショナルと結んでいたライセンス契約を8月末で終了すると発表したのです。ナビスコブランドの商品は年間売上高の約4割を占める主力製品。同社の2015年度の売上、営業利益はともに過去最高を記録しており、ヤマザキグループ内でも利益貢献度が高い子会社でした。突然の契約終了発表の衝撃は、親会社である山崎製パンの株価は14%急落し、「ナビスコショック」として世間を騒がせたほどです。
このライセンス契約終了を機に、9月に社名をヤマザキ・ナビスコからヤマザキビスケットに改め、「ルヴァン」をはじめとする数々のナビスコブランド商品の後継商品を発売。一方、「リッツ」や「オレオ」などのナビスコ商品は海外で生産され、モンデリーズの日本法人であるモンデリーズ・ジャパンを通して引き続き日本でも販売されています。

ナビスコとYBCの商品をいざ実食!

【勝負その1】リッツvsルヴァン

一番の違いはその形状。丸いリッツに、四角いルヴァン。ルヴァンの方がやや厚め。

リッツ派の意見

「リッツの方が塩気が強くて味がしっかりしている」
「食べなれた味」
「薄い方がチーズなどいろいろ載せて楽しめる」
「甘味と塩加減がちょうどいい」

ルヴァン派の意見

「ルヴァンは甘みがある」
「厚みがある分、食感がいい」
「バターの風味を感じる」
「リッツは塩気が強くてパサパサしている気が…」

結果:1票差でリッツの勝ち!

【勝負その2】オレオvsノワール

ほぼ瓜二つのオレオとノワール。果たして違いはあるのか…。

オレオ派

「苦味が控えめ」
「慣れ親しんだ味」
「ちょうどいい甘み」

ノワール派

「ビターな大人の味がいい」
「噛んだ瞬間の苦味がよい」
「オレオは甘すぎる」

結果:1票差でオレオの勝ち!

【勝負その3】プレミアムvsルヴァン クラシカル



Amazon.co.jpより

こちらもほとんど見た目的には違いはなさそうな、シンプルなクラッカー。

プレミアム派

「塩味が控えめで、見た目も香ばしい感じ」
「生地がおいしい」 

ルヴァン クラシカル派

「香りが立っている」
「ルヴァンの方が丁寧に作られている。プレミアムは焼き具合などが雑」
「塩味がきいている」

 結果:2票差でルヴァン クラシカルの勝ち!

※これらの結果は全て個人の感想をもとにしたものです。

ヤマザキビスケットの反撃はいかに?

編集部の独断と偏見による味勝負ではナビスコ商品に軍配が上がりましたが、ヤマザキビスケットは果たして「ナビスコショック」を乗り越えられたのでしょうか。 ヤマザキビスケットの2016年12月期の決算を見てみると、売上は3.7%減の388億円、営業利益は27.6%減の25億円と、数ヶ月とはいえ「ナビスコショック」の痛手が見てとれます。2017年12月期の計画では、売上367億円、営業利益18億円を目標に掲げていましたが、どちらも達成できていません。営業利益にいたっては、目標の1割にも達していません。

■ヤマザキビスケットの売上・営業利益 (単位:百万円)

2015年12月期 2016年12月期 2017年12月期
売上 40,291 38,813 32,717
営業利益 3,414 2,507 166
Amazon.co.jpより

そんな危機的状況の中、昨年12月に新たに発売されたのが「ルヴァン プライム スナック」。赤をメインカラーにしたパッケージに、丸い形状。これは、「リッツ」を彷彿とさせる商品です。青箱の「ルヴァン」との違いは何かあるのかと食べてみても、その違いはほぼ感じません。原材料をチェックしてみると、「ルヴァン プライム スナック」にはライ麦粉がないだけ。

このタイミングで「リッツ」により近い商品が発売されたのには、類似製品の製造販売を制限する期間を米モンデリーズ・インターナショナルとの間で取り決めていたことが背景にあります。その制限が解かれ、従来のリッツに近いレシピとイメージの商品を満を持して発売したというところなのでしょう。

2018年12月期計画でヤマザキビスケットが目指すのは、売上375憶円、営業利益21.7億円。果たして「ルヴァン プライム スナック」は「リッツ」から定番クラッカーの座を奪えるのか。今後の認知度アップと売上への貢献の行く末を見守っていきたいところです。

文:M&A Online編集部