【2019年M&A=調剤薬局・ドラッグストア】「破談目立つ」も件数は過去最高

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2019年(2019年1月1日-12月20日)の調剤薬局・ドラッグストア業界のM&Aは22件となり、2009年の21件を上回り2008年以降の12年間で最多となった。ソフィアホールディングス(HD)<6942>が全体の40%ほどを占める9件のM&Aを発表したため、件数が伸びた。 

ただソフィアHDは9件中2件が中止となっており、さらに経営統合を目指していたスギホールディングス(HD)<7649>とココカラファイン<3098>も統合を断念するなど、破談の案件が目を引いた。 

金額は約27億円で2008年以降の12年間では2011年の約8億円に次ぐ2番目に少ない年となった。10億円を超える案件が1件にとどまったのに加え、非公表などが13件と全体の60%近くに達したことから金額が抑えられた。 

ソフィアが1位から9位までを独占 

2019年のM&Aでもっとも金額が高かったのはソフィアHDが調剤薬局7店舗を経営する泉州薬局(大阪府岸和田市)の全株式を取得し子会社化(約10億円)することを決めた案件。 

このほかで金額を公表したのはソフィアHDだけだったため、1位から9位までをソフィアHDが独占する形となった。このうち中止となったのは、3位のなのはな(宮城県塩竃市)の調剤薬局事業を譲り受ける(約3億円)ことを決めた案件と、6位の調剤薬局経営のエイエムファーマ(山口県宇部市)の全株式を取得し子会社化(約2億円)することを決めた案件。 

ソフィアHDは経営多角化の一環として調剤薬局事業の拡大に乗り出しており、2018年も同事業に関して9件の買収を手がけている。2019年12月19日に発表したばかりの和歌山県で調剤薬局を経営する、わかば薬局(和歌山県御坊市)の子会社化(約9000万円)の際にも、「引き続きM&Aなどにより調剤薬局事業を拡大する」としており、2020年も多数のM&Aが見込めるそうだ。 

このほか、ウエルシアホールディングス<3141>、キリン堂ホールディングス<3194>、ココカラファイン、ツルハホールディングス<3391>、日本調剤<3341>の5社がそれぞれ2件の買収を発表しており、業界の集約が進んでいることがうかがい知れる。 

スギHDとココカラファインは2019年6月1日に、経営統合に向けて協議を始めると発表。両社で経営統合準備委員会を設け、7月31日をめどに基本合意書の締結を目指すとしていたが、2カ月半後の8月14日に基本合意書の締結には至らず協議を終了するとの発表を行った。

スギHDは協議終了を発表した資料で「今後もM&A、戦略的提携などがあれば積極的に検討する」としており、2020年も何らかの動きがありそうだ。

一方、ココカラファインはスギHDとの協議終了を発表した当日に、マツモトキヨシホールディングス<3088>との経営統合に向けた協議を開始すると発表。現在も協議が続いている。

文:M&A Online編集部