DMM、スタートアップ企業の買収加速 若者に人気の音楽、写真アプリを傘下に 

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 インターネットを通じて動画など様々なコンテンツを提供するDMM.com(東京・渋谷)が国内スタートアップ企業の買収を加速している。27日、音楽共有アプリのnana music(東京・渋谷)と写真保存アプリのピックアップ(東京・目黒)の株式を取得し子会社化すると発表した。DMMは1月、イラスト・漫画投稿サイト「pixiv」を運営するピクシブ(東京・渋谷)の前社長、片桐孝憲氏が新社長に就任したばかり。11日には3Dプリントを手がけるアイジェット(東京・港)の全株式取得も発表している。未上場ながら豊富な資金力を持つDMMがM&Aを積極化すれば、IT・インターネット分野のスタートアップ企業にとって新たな出口となりそうだ。

 DMMの子会社になるnana musicはスマートフォンの音楽共有アプリ「nana」を運営する。複数の人が音を重ねて楽曲を投稿したり、投稿された音楽を通じてユーザー同士で交流したりできる。2012年11月に本格的にサービスを開始。10~20代の若い女性に人気で、登録ユーザー数は300万人を突破している。

 ピックアップはクラウド写真保存アプリ「POOL」を運営する。スマートフォンで撮影・保存した写真や動画を安全にクラウドに保存し、スマホのデータ容量を空けられるようにする。簡単に操作できることから、若い女性を中心に利用が拡大している。

 DMMは動画配信やゲーム、英会話、外国為替証拠金取引(FX)など様々なネットサービスを運営している。今回の買収で音楽や写真アプリといった若年層の関心が高い領域に事業を広げることになる。

 今年1月に就任した片桐社長はピクシブを2000万人以上が使う人気サービスに育てた。ネット業界に対する知見や人脈を早速、M&Aに生かした格好だ。

 国内のネット関連のスタートアップ企業はこれまで出口戦略として株式上場をめざすか、楽天、サイバーエージェント、ディー・エヌ・エーなどの上場の大手ネット企業に買収されるケースが多かった。これに加えて今後はDMMも買い手として存在感が高まるかもしれない。

文:M&A Online編集部