元メガバンク行員が語る、M&Aのメリットを大きくする銀行の存在とは?

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写真はイメージです。

M&Aを行うメリットはたくさんある。買い手にも売り手にも様々なメリットがあるが、銀行にM&Aの協力をしてもらうと、さらにM&Aのメリットが大きくなることはご存じだろうか。そこで今回は、M&Aの買い手が銀行のサポートを受けた場合に得られるメリットについて説明する。

買い手から見たM&Aのメリットとは

M&Aは多くの企業で検討・実施されている。M&Aが経営戦略や事業戦略の実現手段の1つとして定着してきた背景には、企業問の競争激化による事業領域の選択と集中を進めるための施策としてM&Aが積極的に活用されるようになったことや、後継者不在による事業承継の困難さが増していることなどが挙げられる。

特に、他の企業が保有する既存の経営資源の買収による事業領域の拡大・再構築は、企業経営にとって大きなメリットだ。

一般的に、買い手から見たM&Aのメリットには次のようなものがある。これらのメリットは銀行のサポートを受けると、さらに大きなメリットになることを皆さんはご存じだろうか。

時間を買う

新製品の開発、異業種分野への進出、あるいは規模の利益を狙う場合に、手っ取り早く「時間を買う」ことによって、早期の市場参入と早期の業績に寄与する。

銀行のサポートを受ける場合、銀行は、多くの取引先を持っているため、素早くマッチする企業を紹介してくれるだろう。

M&Aをすることによって時間を買うメリットのほかに、マッチする企業を早く見つけてくれるメリットもあるのだ。銀行の豊富な情報はM&Aの時間を買うメリットをさらに高めるだろう。

人材を獲得する

M&Aを実行することによって、対象企業の優れた人材を、自社に取り込むことができる。

人材を獲得できるのはM&Aの大きなメリットだが、銀行にサポートを受けると場合によっては銀行の行員を出向という形で自社に招き入れることができるのだ。経営状況に精通している行員を自社に引き込むことができるのは大きなメリットだろう。

顧客を獲得する

M&Aを実行することによって対象企業の持つ顧客を、自社の顧客とすることができる。これに加え、対象企業の販路や営業データなども自社のものとして利用できるのもM&Aのメリットだ。

さらに、銀行にサポートを受ける場合、銀行の豊富な取引先から顧客を紹介してもらえるかもしれない。時間が非常にかかる新規開拓を銀行が行ってくれるのは大きなメリットだろう。

事業リスクの低減

対象企業の過去の業績データを参考にできるため、全くの新事業分野へ進出する場合に比べ、投資の計算がより現実味のあるものとなり、リスクを低減できる。

さらに、銀行からサポートを受けることによって銀行には様々な事業リスクのデータが蓄積されているのでそのデータの活用も可能だ。

事業リスクの低減は多くの企業で大きな課題。事業リスクの低減に一定の効果があるのは銀行を利用する大きなメリットだろう。

シナジーの期待

M&Aを実行することによって、買収側(買い手)の経営資源(主として経営ノウハウ)と対象企業の経営資源の組み合わせによるシナジー(相乗効果)が期待できる。

もちろん、普通にM&Aをするだけでシナジーは十分に期待できるが、やはり銀行には様々なデータがあるのでより高いシナジーを期待することができるのではないだろうか。シナジーを最大限にすればよりM&Aのメリットが強まるため大きなメリットになるだろう。

まとめ

今回はM&Aの買い手が銀行のサポートを受けるメリットについて具体的に説明した。M&Aの実行で様々なメリットを受けられるが、銀行のサポートを受けることによってさらにそのメリットは大きくなるだろう。

文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)