元メガバンク行員が語る、銀行で有利にM&Aを進める方法とは?①

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写真はイメージです。

M&Aを実行する際、銀行への相談を検討している経営者は多いだろう。なぜなら、取引銀行の場合、会社に関するあらゆる情報を銀行に提供しているからだ。

取引銀行であれば親身にM&Aの相談に乗ってくれると考える経営者は多いのではないだろうか。もちろん、多くの銀行はM&Aに力を入れているので親身に相談に乗ってくれるはずだ。

しかし、自社のM&Aにより力を入れてもらうためには、いくつかの秘訣があるのを皆さんはご存知だろうか。そこで今回は、銀行にM&Aについて力を入れてもらうおすすめの方法について2回に分けて紹介する。

取引の電子化を積極的に進める

多くの銀行では、現在、急速に取引の電子化を進めている。取引の電子化が、法人営業部の目標になっているケースも多く、多くの銀行で力を入れているのだ。

この取引の電子化を積極的に進めてあげれば、M&Aなどでいざ銀行の力が必要な時に積極的に協力してもらえるだろう。

もちろん、紙で行わなければならない取引が存在するのはよくわかるが、今後のことを考えて、極力、電子化を推進した方が自社にとっても良いはずだ。

iDeCoやクレジットカードの協力をする

クレジットカードについては、多くの経営者の方はお分かりかと思うが、ほとんどの銀行ではクレジットカードの推進に非常に力を入れている。

銀行が推進するクレジットカードを従業員などに紹介すれば、非常に喜ばれるはずだ。

また最近は、iDeCo(イデコ)にも多くの銀行が力を入れているので、積極的に自社に導入すれば、様々な便宜を図ってくれることがあるだろう。

ちなみに、iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、公的年金の上乗せ部分を個人で作る仕組みのことだ。

iDeCoは、原則60歳まで投資信託などで運用する仕組みになるが、利益に対して税金がかからないなど様々なメリットがある制度になる。

iDeCoもクレジットカードも決してデメリットになるものではない。また、特にiDeCoは従業員の福利厚生にもなるので、積極的に銀行に協力するのは1つの方法ではないだろうか。

電子マネーの導入に貢献する

こちらも、多くの銀行で最近非常に力を入れている分野だ。電子マネーのシェアの争いは非常に激しいため、各銀行系列のクレジット会社などを使い最も力を入れている分野になる。

電子マネーの導入を行えば、ほとんどの銀行では喜ばれるはずだ。もちろん、手数料の問題や利便性の問題などがあるため、簡単に導入するのは難しいかもしれないが、もしニーズにマッチするのであれば積極的に導入を考えてはいかがだろうか。

まとめ

様々な方法について紹介したが、要は銀行が力を入れている分野に協力をすることによって見返りとして協力してもらえるという内容だ。

もちろん、今回紹介したものについて自社にとってデメリットがあるのであれば導入すべきではない。

しかし、今回紹介した3つについては、決してデメリットがあるものではないと考えられるので、ぜひ検討してみてはいかがだろうか。

銀行と良好な関係を保っておくのは決して損なことでは無い。いざというときに助けてもらえる体制を整えておくのはM&Aに限らず非常に重要なことだろう。

文:渡辺 智(メガバンクに11年勤務。法人営業・個人営業に従事)