前回まで米国におけるデュアルクラスの普及について解説した。翻って日本はどうか。実は日本でも、数年前にこのデュアルクラスについて議論が盛んになったことがある。ロボットスーツ開発ベンチャーのCYBERDYNE Inc.(サイバーダイン)<7779>が、デュアルクラスに似た形でのIPO(新規上場)を申請したからだ。

日本の現実は厳しい

日本では、1株に複数の議決権を付与する種類株式の発行は認められていない。しかし、単元株制度を用いて実質的にデュアルクラスと同等の効果を持つ株主構造を構築することが可能だ。サイバーダインの場合、普通株式の単元数が100株であるのに対し、「サイバーダインB種株式」は単元数が10株となっている。

そして、議決権は1単元につき1個であるため、B種株式は実質的に普通株式の10倍の議決権を持っていることになる。このB種株式を創業者の山海嘉之社長が引き受けることにより、議決権ベースで87.7%の議決権を保持したままIPOしている。(数字はすべて上場時点)

サイバーダインのロボットスーツ技術は軍事転用の可能性があり、敵対的買収による技術流出が著しいリスクになり得るという理由で、東京証券取引所の特別審査をクリアしたのだ。

日本初のデュアルクラスとして期待されたサイバーダインだが、株価は必ずしも絶好調とは言えない。デュアルクラスの導入を市場が喜んで許容したくなるような天才起業家とその仲間たちが日本に現れるには、まだしばらく時間がかかるのかも知れない。