【2023年】今年もこんなにあるよ、上場企業の社名変更

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日本電産は4月に「ニデック」に社名する(写真は東京オフィス)

コロナ禍は丸3年を迎えた。ウクライナ戦争は越年し、物価高も深刻化している。内外情勢は混とんとしているが、2023年もすでに20社を超える上場企業で社名変更が予定されている。その顔ぶれとは。「卯年」にあやかり、躍動の年となるか。

昭和電工、統合の仕上げへ「レゾナックHD」

元日をもって新社名に移行したのは4社(一覧表)。このうち3社は経営統合を受けての社名変更だ。

昭和電工は持ち株会社制への移行に伴い、1日付で「レゾナック・ホールディングス(HD)」に改めた。2020年に約9600億円を投じて買収した日立化成との経営統合の総仕上げが狙い。持ち株会社の傘下に、昭和電工と旧日立化成を引き継ぐ統合新会社「レゾナック」を置いた。

昭和電工の前身企業の発足は1908(明治41)年にさかのぼる。1939(昭和14)年に日本電気工業と昭和肥料が合併して昭和電工が誕生したが、その名前にピリオドを打った。

「カップ印」で知られる製糖大手の日新製糖は伊藤忠製糖との経営統合に合わせ、「ウェルネオシュガー」に社名を変更した。「オープンアップグループ」に改めたのは技術者派遣大手の夢真ビ―ネックスグループ。同社はビ―ネックスグループと夢真ホールディングスが2021年4月に合併して発足したが、両社の旧社名を外し、第二の創業を期す。

新生銀行は仕事始めの4日付で「SBI新生銀行」として再スタートする。インターネット金融大手のSBIホールディングスが新生銀行を子会社化したのは2021年12月末。同行買収を巡っては一時、敵対的TOB(株式公開買い付け)に発展し、国を巻き込んだ攻防戦が繰り広げらたことが思い出される。

創業50年、「ニデック」に改める日本電産

日本電産は4月に「ニデック」に変更する。「ニデック」は同社製品のブランド名。今年創業50周年を迎えるのに伴い、グループ会社の社名も原則として「ニデック」を冠したものに統一する予定。新社名としては英文社名でもあるローマ字の「Nidec」への変更が有力視されていたが、最終的にはカタカナで落ち着いた。

日本電産は1973(昭和48)年に社員4人で、現会長・CEO(経営最高責任者)の永守重信氏が28歳の時に自宅納屋を改造してモーター製造に乗り出したのが始まり。今では世界40数カ国・地域に展開するグローバル企業に成長し、売上高2兆円を目前とする。

昭和電線ホールディングスは2006年に導入した持ち株会社制を廃止するのに伴い、傘下の中核事業会社2社を吸収合併して「SWCC」に改める。経営戦略と事業運営の距離を縮め、戦略立案と実行のスピードを加速させるとしている。同社の旧社名は昭和電線電纜(1936年設立)。電纜(でんらん)は電線の束、ケーブルを指し、歴史を感じさせる社名だった。

日立製作所グループから名実ともに離脱する日立物流は4月に「ロジスティード」に一新する。同社を巡っては米投資ファンドのKKRによる買収が2月末に最終的に完了する見込みで、社名変更の前に上場廃止(東証プライム市場)となる。

「100年企業」の社名変更が目立つ

2023年の社名変更では「100年企業」が目立つ。昭和電工のほかに、月島機械(1905年に設立)、ペガサスミシン製造(1914年)、三井E&Sホールディングス(1917年)、イムラ封筒(1918年)、キョーリン製薬ホールディングス(1923年)がある。

工業用ミシン大手のペガサスミシン製造は国内外の縫製業界で浸透している「PEGASUS」ブランドの社名を統一する。自動車用部品に参入し、事業領域が広がっていることも背景にある。ペガサスはギリシャ神話に登場する伝説の生物で、鳥の翼を持ち、空を飛ぶことのできる馬とされ、同社のシンボルマークともなっている。

キョーリン製薬は100周年のタイミングをとらえ、2010年以来の持ち株会社制を取りやめ、「杏林製薬」に戻す。イムラ封筒は祖業の「封筒」を社名から外す。各種封筒製造とダイレクトメール発送代行を2本柱とするが、近年、新事業としてデジタル領域にアクセルを踏み込んでいる。

◎2023年:上場企業の社名変更

変更日 新社名 旧社名
1/1 ウェルネオシュガー 日新製糖
オープンアップグループ 夢真ビ―ネックスグループ
レゾナック・ホールディングス 昭和電工
四国化成ホールディングス 四国化成工業
1/4 SBI新生銀行 新生銀行
2/1 イムラ イムラ封筒
2/7 メタプラネット レッド・プラネット・ジャパン
3/1 森トラスト投資法人 森トラスト総合リート投資法人
4/1 杏林製薬 キョーリン製薬ホールディングス

SWCC
昭和電線ホールディングス

PEGASUS
ペガサスミシン製造

月島ホールディングス
月島機械

ニデック
日本電産

santec Holdings
santec

三井E&S
三井E&Sホールディングス

竹田iPホールディングス
竹田印刷

RYODEN
菱電商事

ロジスティード
日立物流

BSNメディアホールディングス
新潟放送

ニシオホールディングス
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文:M&A Online編集部