ソニー63年ぶり、楽天22年ぶり…こんなにあるよ 4月の社名変更

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「ソニーグループ」に社名が変わるソニー(東京・品川の本社)

4月の新年度入りにとともに、社名変更する上場企業は15社を数える。その顔ぶれは例年になく“大物”ぞろい。ソニーは63年ぶりに、楽天は22年ぶりに社名を改める。回転寿司首位のスシローグローバルホールディングスは事業領域の広がりに伴い、「スシロー」を社名から外す。

社名変更は1年のうち年度初めの4月が最も多く、これに年明け1月、年後半入りの7月、年度下期入りの10月が続く。2019年4月の17社には及ばないものの、今年は1ケタ台にとどまった前年4月(6社)の2倍以上に増えた(一覧表)。

ソニー、楽天はグループの「司令塔」を明確化

ソニーは「ソニーグループ」に変更し、グループ全体の本社機能の位置づけを明確にする。持ち株会社のソニーグループの傘下にエレクトロニクス、ゲーム、音楽、映画、金融などの事業会社を配する。ソニーの名前は祖業であるエレクトロニクス事業を担う子会社が引き継ぐ。

ソニーは終戦翌年の1946年に、井深大、盛田昭夫の両氏が東京通信工業として設立した。今回の社名変更は1958年に製品ブランド名のソニーに変更して以来63年ぶりだ。

楽天は1997年に前身のエム・ディー・エムを設立し、EC(電子商取引)モール「楽天市場」を立ち上げた。1999年に楽天が社名となったが、22年ぶりに変更し、4月から「楽天グループ」とする。EC事業にとどまらず、金融、通信、プロスポーツなどに“楽天経済圏”が拡大の一途をたどっている。

ソニー、楽天はいずれも従来の名前に「グループ」を加えるだけで、見た目にはマイナーチェンジに映るが、狙いは複合企業化したグループを束ねる司令塔としての役割を明確に打ち出すことにある。

スシローは「FOOD&LIFE COMPANIES」へ

国際石油開発帝石は英文名として使われている「INPEX」に社名を統一する。2006年に国際石油開発と帝国石油が経営統合して発足したが、INPEXはもともと国際石油開発の略称。海外IT企業向け技術サポートの草分けである日本サード・パーティーは創業35周年を期して「JTP」に変更する。 

「FOOD&LIFE COMPANIES」に改めるのはスシローグローバルホールディングス。大衆寿司居酒屋「杉玉」、台湾茶専門店「Sharetea」に代表される業態拡大や海外展開の加速に対応する。大黒柱の回転寿司「スシロー」のブランド名はそのままだ。

経営統合に伴う社名変更は次の4社。DM三井製糖ホールディングス(三井製糖と大日本明治製糖)、夢真ビーネックスグループ(夢真ホールディングスとビーネックスグループ)、アイシン(アイシン精機とアイシン・エィ・ダブリュ)、三菱HCキャピタル(三菱UFJリースと日立キャピタル)。ただ、いずれも足して二で割った感は否めない。

TATERU、設立15年で4度目の社名変更

会社設立から15年余りで社名変更が4度目となるのはアパート開発のTATERUだ。今度の新社名「Robot Home」は子会社の名前で使っていたもので、親会社名に“昇格”させた形だ。

フルキ建設として2006年1月に設立後、インベスターズ、インベスターズクラウドを経て、2018年にアパート事業のサービス名TATERUに社名を変更して間もない。この間、2015年にマザーズに上場(翌年、東証1部)した。

アトラは2005年に鍼灸接骨院やマッサージ院の開業支援を目的にスタートしたが、近年、介護などヘルスケア分野に事業が広がり、子会社も多くなっている。このため、社名に「グループ」を加え、持ち株会社に移行する。ちなみに同社設立時の社名は「權左ヱ門」。現在のアトラ(Artra)には技「Art」、伝統技術「Traditional」、魅力のある集合体「Attractive」の意味が込められている。

◎4月に社名変更する上場企業

現社名 新社名 主な事業
TATERU Robot Home アパート開発
国際石油開発帝石 INPEX エネルギー開発
三井製糖 DM三井製糖ホールディングス 製糖
夢真ホールディングス 夢真ビーネックスグループ 技術者派遣
日本サード・パーティ JTP ITサービス
スシローグローバルホールディングス FOOD&LIFE COMPANIES 外食
楽天 楽天グループ ネット通販
ヤマウ ヤマウホールディングス コンクリート製品
アトラ アトラグループ 鍼灸接骨院支援
ソニー ソニーグループ 電機
アイシン精機 アイシン 自動車部品
三菱UFJリース 三菱HCキャピタル リース
エムジーホーム AMGホールディングス 分譲マンション
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文:M&A Online編集部