「コカ・コーラ」が4期連続の営業赤字に 原材料高が直撃

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写真はイメージです by Tomasz Stasiuk

下期に再値上げも

国内ボトラー最大手のコカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス<2579>が、4期連続の営業赤字に陥ることになった。

円安やロシアのウクライナ侵攻などによる原材料価格の高騰が要因で、2022年12月期の営業赤字は111億円に達する見込み。

大型のペットボトル製品(1.5リットル、2リットル)を、2022年5月出荷分から5-8%値上げしたのに続き、小型のペットボトル製品についても、下期(2022年6-12月)に値上げする計画だが、増加するコストを吸収しきれない状況にある。

同社ではコロナ禍と原材料高に見舞われた2020年から2022年までの3年間を変革の時期と位置づけ、2023年以降は持続的な成長が可能と予測する。コスト削減やシェアアップなどに取り組み成長軌道に乗せる考えだが、果たして思惑通りに進むだろうか。

軸足を「守り」から「成長」に

コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスの2022年12月期の売上高は8197億円の見込み。ウイズコロナで人出が回復することによる販売数量の増加や値上げなどにより前年度比4.3%の増収を見込んでおり、4期ぶりに減収に歯止めがかかる。

ただペットボトルの原料やアルミニウムの高騰などによって調達コストが上昇するほか、エネルギ-コストの負担も高まるため、売上原価が6.8%、販管費が1.2%増加。この結果、100億円を超える営業赤字が避けられない見通しだ。

こうした状況を踏まえ、同社では自動販売機などの販売機器の耐用年数をこれまでの9年から11年に伸ばした。機器の整備体制の強化や、機器メーカーとの協業による性能向上などによって使用期間の長期化を実現するもので、これによって減価償却費が年間約80億円減少するという。

この減価償却費の減少と製品値上げは、2023年以降も増益効果として現れてくる。さらに自動販売機の設置台数の増加や1台当たりの販売数量の向上に取り組むことなどで、2023年以降は持続的な成長が可能としている。

同社は現在、中期経営計画を策定中で、近く2023年以降の具体的な成長戦略が出てくる見込み。変化の激しい環境下で「守り」に注力してきた2022年までの3年間に対し、2023年以降はポストコロナを見据えた「成長」に軸足を移すことになりそうだ。

【コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスの業績推移】単位:億円、2022年12月期は予想

文:M&A Online編集部