中央インターナショナルグループ、保険代理店の小規模M&Aを重ねて業容を拡大【東証PRO】 

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中央インターナショナルグループ<7170>は生保・損保の両方を扱う保険代理店業務を展開する。佐賀市を本拠として日本各地で小規模なM&Aを重ね、それぞれの地域でNo.1プロ代理店のグループを目指している。

同社は1974年、大石正德社長が佐賀市で損保代理店を個人創業したのが始まり。2014年6月にTOKYO PRO Market(TPM)に株式を上場した。

地域No.1のプロ代理店グループを目指す

中央インターナショナルグループは設立の経緯が異色といえば異色。同社の母体は1992年1月に食品加工販売を目的に設立されたコスモフーズという会社にさかのぼる。コスモフーズは翌1993年に食品加工販売事業は休止し、中央保険サービスに社名を変更し、それまで現社長の大石氏が個人で行っていた損保代理店事業を法人形態に改めた。

2001年にグループ経営に移行するため、中央保険サービスを中央インターナショナルグループに社名変更した。これに合わせ、傘下の中核事業会社として中央保険サービス(佐賀市)を新たに設立した。

M&A戦略が本格始動したのは2005年以降。同年11月に東北永愛友商事岩手(岩手県北上市)、2008年7月に東京中央サービス(東京都台東区)、2011年9月に唐津中央サービス(佐賀県唐津市)を傘下に収めた。いずれも地域の中小保険代理店だ。2014年4月には札幌市に拠点として中央保険サービス(前出の中央保険サービスとは別の組織)を発足した。

不動産関連では1999年にイシイ(佐賀市)、2009年にCig商事(佐賀市)を傘下に収めている。

中央インターナショナルグループは小規模なM&Aを積極的に行い、グループ経営を推し進めてきた。現在のグループ会社は8社(うち6社は保険代理業)。保険代理業の営業拠点は佐賀県、東京都、岩手県、北海道で14カ所を数え、地域密着によるフェイスツーフェイスの保険提案を身上とし、地域ナンバーワンのプロ代理店を目指している。

保険自由化を受け、乗合代理店方式を推進

1996年4月に保険業法が全面的に改正された。保険業界では規制緩和と自由化が急速に進展し、生損保相互乗り入れが実現した。これに伴い、保険代理店の淘汰・統廃合が進んだ。中央インターナショナルグループは規制緩和と自由化の荒波にもまれつつも、個人・小規模代理店のグループ化を推し進めたことになる。

そうした中、複数の保険会社と代理店契約を結ぶ乗合代理店が急増した。中央インターナショナルグループは生保、損保のそれぞれで10数社と代理店契約を締結している。多様なニーズに即した最適な保険商品が提供できるのが強みだ。

◎中央インターナショナルグループの業績推移

2018/12期 2019/12期 2020年12月期
売上高 6億8000万円 6億8700万円 7億2700万円
経常利益 996万円 2529万円 1845万円
最終利益 5013万円 2140万円 2899万円

高度なスキルを持った人材の育成がカギ

同社の基本戦略は、小規模なM&Aを進めてグループ全体の規模を拡大し、保険代理店として保険会社から最高位の手数料率ランクを獲得し、収益力を高めていくことにある。その実現には、グループの魅力ともなり得る経営の健全性や高い信頼度が不可欠となるだけに、それがTOKYO PRO上場を目指した背景だったと考えられる。

保険代理店は伝統的な火災保険や自動車保険にはじめ、各種の賠償責任保険、新たなリスクに備えた新種保険など、さまざまな保険商品を取り扱う。顧客ニーズに的確に応えられる高いスキルを持った人材の育成が同社成長のカギとなろう。

文:M&A Online編集部