教会に「初詣」しよう!

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お正月といえば神社仏閣で初詣というのが日本人の定番だが、たまには気分を変えて、教会で新年を迎えるのはどうだろう。今年はキリスト教の日本伝来470年の節目。文化庁の「宗教年鑑」2018年版によると、国内のキリスト教人口は192万1834人と前年より7638人(約0.4%)増えている。

2020年代の幕開けに当たり、教会で新年の誓いを立ててみるのも、新たな自分を発見する機会になるかもしれない。「求めよ、さらば与えられん。たずねよ、さらば見出さん。門を叩け、さらば開かれん」(新約聖書マタイ伝七章七ー八節 イエス・キリストの言葉)。

そこで、このお正月に誰でも拝観できる各地の教会を3つ紹介する。

カトリック神田教会、都内最古を誇る(東京都千代田区)

日本で最初に聖フランシスコ・ザビエルに捧げられた教会として、その名を知られるのが「カトリック神田教会」。創設は1874(明治7)年。明治新政府がキリスト教の禁教令を解いた翌年のことで、東京にあるカトリック教会として築地教会(東京都中央区)と並んで最古の歴史を誇る。

関東大震災後で焼失後、現在の聖堂は1928年に完成した。フランス人宣教師シュレル神父の基本構想によるもので、ロマネスク様式(外観)とルネサンス様式(内部)を融合させ、落ち着いた印象を与える。東京空襲に遭いながらも奇跡的に被害を免れ、当時の面影をそのまま残し、2002年に国の有形文化財に登録された。

神田教会は戦後、被災した関口教会(東京カテドラル聖マリア大聖堂、東京都文京区)に代わり、東京の司教座聖堂(カテドラル)、つまり母教会としても使われた時期(1952~1964年)もある。キリスト生誕の2000年には、聖フランシスコ・ザビエルの聖遺骨が祭壇右脇に安置された。

2020年1月1日は恒例の新年ミサがあり、深夜0時(12月31日に23時開門)からと12時から、それぞれ行われる。神社やお寺とは一味違う凛とした雰囲気に触れるのも、1年の始まりにふさわしいかもしれない。

教会はふだん月曜を除く10時~16時に一般公開されている(ただし1月2~4日は閉門)。場所は古書店が軒を連ねる神保町からほど近く、新年といわず、ぶらりと足を運んでみてはどうか。(東京都千代田区西神田1-1-12、水道橋駅・神保町駅から徒歩7~8分)

マニラの大聖堂を模した高山右近記念聖堂(大阪府高槻市)

高山右近記念聖堂(カトリック高槻教会、大阪府高槻市)は、キリシタン大名の高山右近を記念して1954年現在地に仮聖堂が建てられ、1962年に現在の聖堂が完成した。 

高山右近は1552年に摂津の国高山(現在の大阪府豊能郡)で生まれ、12歳の時に父飛騨守の影響で洗礼を受けたあと、1570年ごろに高槻城に入り、1573年に21歳で高槻城主となった。

その後、領内には十字架や教会が次々と建立され、右近が領主となった8年後の1581年には高槻の領民2万5000人のうち1万8000人がキリシタンだったという。1585年に右近は幕府の命令での領地を明石に移し、そこでも教会を建設した。 

高山右近大理石像

その後1612年に徳川幕府はキリシタン禁教令を発布し、1614年には右近の国外追放令が出されたため、右近一家はマニラに逃れたが、右近は到着後40日ほどで熱病にかかり、1615年2月に63歳の生涯を閉じた。 

高山右近記念聖堂の高いドーム状の屋根を持つ現在の建物は、マニラ郊外にある聖母大聖堂を模して設計された。聖堂前には右近大理石像がある。 

聖堂は1年中見学ができ(夜間は外観のみ)、初めての人でもミサの雰囲気を味わうことができる。(大阪府高槻市野見町2-26、阪急京都線高槻市駅から徒歩7分、JR京都線高槻駅から徒歩約16分)

日本のクリスマスはこの地から-山口サビエル記念聖堂(山口市)

山口市のランドマークとなっているサビエル記念聖堂(山口商工会議所ホームページより)

日本のクリスマスが山口で始まったことを、ご存知だろうか。時は1552年12月9日(太陽暦は12月24日)、山口で活動していた宣教師のコスメ・デ・トーレスらが司祭館に日本人信徒を招き、クリスマスを祝った。日本は戦国時代。「桶狭間の戦い」が起こる8年前、その勝者となる織田信長はまだ18歳の若者だった。

山口でキリスト教の布教が始まったのは、その前年の1551年のこと。カトリック教会の司祭でイエズス会創設メンバーのフランシスコ・デ・ザビエルが、山口を本拠とする守護大名・大内義隆の許しを得て宣教を始めた。

ザビエルの布教400年記念事業として1952年に建設されたのが「山口サビエル記念聖堂」。ザビエルの生家であるスペインのザビエル城を模して建てられたが、1991年の火災で全焼。イエズス会からの資金援助や信者、山口市民などからの寄付により、1998年に現在の聖堂が再建された。

聖堂は高さ53mの2本の塔と、テントを模した大きな屋根が全体を覆う斬新なデザイン。高層建築物が少ない山口市内では、どこからでも見えるランドマーク的な存在となっている。

聖堂内では新年のミサや祝詞が執り行われる。(山口商工会議所ホームページより)

記念聖堂では2020年1月1日11時から新年のミサを、正月3が日は13時から新年の祝詞を執り行う。拝観時間は9時~17時。拝観料として1人100円以上の献金が必要。聖堂内の写真撮影は自由だが、フラッシュの使用と動画撮影は禁止なので注意したい。(山口市亀山町4-1、JR山口線・山口駅から徒歩15分)

文:M&A Online編集部