経済産業省は、昨年10月に始まったキャッシュレス決済のポイント還元事業に関する最近の状況について公表した。1月11日時点の加盟店登録数は約95万店で、同制度スタート時の約50万店から2倍近くに増えた。人口1000人当たりの加盟店数を都道府県別にみると、上位は石川、東京、京都、福井、鳥取の順だった。
キャッシュレス決済のポイント還元事業は昨年10月の消費税率引き上げに合わせてスタート。クレジットカードなどキャッシュレス支払いを利用した人に対し、中小企業や個人が経営する店舗では購入額の5%、コンビニ・外食・ガソリンスタンドなどのフランチャイズチェーンなどでは2%相当のポイントを還元する。利用期間は2020年6月末までの9カ月に限られる。
約95万店を数える加盟店のうち、5%還元対象の中小・小規模事業者は約85万店と全体の9割を占め、2%還元対象のフランチャイズチェーン(コンビニ除く)が約5万店、コンビニが約5万4000店。昨年10月時点では中小・小規模事業者約41万店、フランチャイズチェーン約3万6000店、コンビニ約5万店で、コンビニの登録についてはほぼ一巡したと考えられる。
人口1000人当たりの加盟店数は全国平均で7.5店(表参照)。都道府県別で10店以上だったのは石川県と東京都にとどまった。逆に下位の5県(全国43位~47位)はいずれも栃木、神奈川、茨城、千葉、埼玉の関東勢。一つ上の42位も群馬県なので、東京都を除く関東勢が下位を独占した。
大阪府は北海道、山梨県と並んで8.6店で全国9位。このほか、福岡県8.2店(14位)、兵庫県7.5店(24位)、愛知県7.1店(29位)、宮城県6.9店(32位)などとなった。
また、昨年10月1日から12月2日までの約2カ月間の対象決済金額は約2兆3000億円で、これに対するポイント還元額は約900億円となった。還元額の内訳は中小・小規模事業者が約760億円、フランチャイズチェーン(コンビニ除く)が約30億円、コンビニ約120億円。
キャッシュレス決済時の支払い手段をみると、クレジットカードが約1兆4000億円と全体の61%を占め、QRコード・バーコードが約2000億円、電子マネーなどその他が約7000億円だった。
なかでも、QRコード・バーコードを利用して支払うスマホ決済アプリの提供会社は国から還元される5%分に加え、独自ポイントを上乗せするキャンペーンを展開するなど、ユーザー獲得にシノギを削っている。決済手段としては“後発”だが、決済単価は約1400円と電子マネーなどその他の約1200円を上回るなど、浸透ぶりがうかがえる。
◎都道府県別 人口当たりの加盟店登録数(1月11日時点:経産省の調査から)
都道府県 | 加盟店数(1000人当たり) | 加盟店数 |
---|---|---|
全国 | 7.5 | 94万8601 |
上位5 | ||
石川 | 11.2 | 1万2786 |
東京 | 11.0 | 15万1571 |
京都 | 9.9 | 2万5522 |
福井 | 9.8 | 7548 |
鳥取 | 9.3 | 5225 |
下位5 | ||
栃木 | 5.8 | 1万1253 |
神奈川 | 5.4 | 4万9364 |
茨城 | 4.9 | 1万4071 |
千葉 | 4.7 | 2万9615 |
埼玉 | 4.6 | 3万3993 |
文:M&A Online編集部