Capital(キャピタル)と聞くと、「資本」や「首都」が思い出されるのではないでしょうか。「譲渡益」を意味するキャピタルゲイン(capital gain)という言葉も、よく耳にしますね。
capital の語源は、ラテン語 capus (頭)にさかのぼります。この単語は第3格変の語で、主格以外の形がみな capit- という変化形だったため、形容詞が capital になりました。
日本語の「頭金」の発想と同じで「最初のお金」ということから「資本」の意味が、「頭=主位にくる町」となり、「首都」の意味ができたのでしょう。capital に「~化する」の語尾 ize(ise)がつくと、capitalize (資本化する、投資する)になります。
capital には「大文字」の意味もありますから、capitalize には「大文字で書く」という意味もあります。会計用語で「過小資本税制」(金利費用の損金算入に制限が課されること) がありますが、これは「thin capitalization」と言います。
帽子の cap がこの capital に関係があるのでは、と思われた方は大正解です。cap は古い時代にフランス語を経由して英語になりました。入れ物のフタや出版社の編集長を「キャップ」と言いますが、もちろん同じ単語です。
団体のボスという意味では captain(キャプテン)もそうです。軍隊では「陸軍大尉」、「海軍大佐」もcaptainですし、corporal (伍長) も同じ語源です。
婦人服の「ケープ」や「岬」を意味する cape も同じく元は「頭」の意味から発展したものです。南アフリカの Cape Town(ケープタウン)は「岬町」だったのですね。
米国の国会議事堂を the Capitol といいます。この言葉は古代ローマの7つの丘のひとつ、ジュピターの神殿があったカピトリーノの丘 the Capitoline Hill の名前から来ています。
ところで「牛」の総称を cattle と言いますが、これも実は capital と大いに関係があります。語形は中世の北フランス語で、牛は財産であり、富であったのです。
経済用語で「動産、家財」を chattel と言いますが、「牛」と家族の言葉なのです。
文:猪浦道夫・天宮徹也(共同執筆)/編集:M&A Online編集部