イオンが子会社化した100円ショップの「キャンドゥ」業績はいまひとつ

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東京都中央区の店舗

2022年1月5日に、イオン<8267>の子会社となった100円ショップ事業を展開するキャンドゥ<2698>の業績がいまひとつだ。

親会社であるイオンと決算期を合わせるため15カ月決算となる2023年2月期は、売上高こそ大きな伸びとなるものの、利益は12カ月決算の2020年11月期を下回る状況だ。

もともと競争の激化やコロナ禍で厳しい状況にあったため、イオン傘下でビジネスモデルの再構築に取り組む計画だったが、その成果は限定的のよう。

小売り最大手のイオンとの相乗効果は、いつどのような形で現れてくるのだろうか。

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「WAON」の導入や、共同仕入れに着手

キャンドゥの2023年2月期は売上高962億円、営業利益12億4000万円、経常利益 13億3000万円、当期利益2億3500万円の予想だ。

2021年11月期と比べると増収増益の予想だが、さらに1年前の2020年11月期との比較では営業利益で20.4%、経常利益で19.1%、当期利益で46.6%もの減益となる。

イオンはキャンドゥの子会社化を発表した際に、イオン店舗へのキャンドゥの出店を増やすことで、売り上げアップやコスト削減などの効果が見込めるとしていた。

2022年4月7日に発表した2023年2月期第1四半期決算でも、イオンとの協業による相乗効果を発揮するため、イオンの電子マネー「WAON」の導入による利便性の向上や、イオングループとの什器、備品などの共同仕入れによる出店コストや設備管理コストの低減に取り組むとしている。

ただ、2023年2月期の業績予想の数字を見る限り、これら取り組みの効果は十分であるとは言い難い。

100円ショップ業界はコロナ禍だけでなく、人口の減少やライフスタイルの多様化、Eコマース(電子商取引)の台頭など厳しい環境下に置かれている。

100円ショップ業界で「ダイソー」を運営する大創産業(広島県東広島市)、セリア<2782>に次ぐ3位の位置にあるキャンドゥが、上位の2社を脅かす存在になるには少し時間がかかりそうだ。

文:M&A Online編集部