事業承継・引継ぎ補助金4次公募、2月9日まで受け付け

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中小企業庁(東京・霞が関)

中小企業庁は2022年12月26日から、2021年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」(4次公募)の申請を受け付けている。受付期間は2023年2月9日まで。前回の3次公募(10月6日~11月24日)と同様、3分の2の手厚い補助率とした。

事業承継・引継ぎ補助金の事業枠は、事業承継後の「経営革新事業」、M&A時に売り手と買い手を支援する「専門家活用事業」、既存事業の経営資源を引き継ぐ「廃業・再チャレンジ事業」の3つ。補助上限は経営革新事業と専門家活用事業が600万円で、廃業・再チャレンジ事業が150万円。廃業・再チャレンジ事業は、他の2事業と併用できる。

申請・採択数とも下降傾向

2021年度補正予算の事業承継・引継ぎ補助金は、2022年度中に計4回の公募期間を設定。事業者のM&Aのタイミングに合わせて通年で申請できるように配慮してきたが、申請・採択数は回を追うごとに下降傾向をたどっている。

3事業を合わせた申請数は1次公募(4月22日~6月20日)が1,033件だったのに対し、2次公募(7月27日~9月2日)は631件に減少。3次公募も629件にとどまった。1次公募からの採択数も531件、348件、354件と低迷し、採択率は50%程度で頭打ちとなっている。

●2021年度補正予算の事業承継・引継ぎ補助金 申請数

申請時期
申請数
1次公募(4月22日~6月20日)
1,033件
2次公募(7月27日~9月2日)
631件
3次公募(10月6日~11月24日)
629件

経済産業省は2023年度予算概算要求で「創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進」を柱のひとつに掲げ、事業承継・引継ぎ補助金に20億円を計上。前年度当初予算比で3億7,000万円を上積みし、既存の中小企業の事業価値を高められるM&Aの促進を加速させる考えだ。

M&A促進には補助活用の底上げが課題

一方、2022年度は当初予算分でも7月25日から8月15日まで同補助金の申請を受け付けたものの、応募数は275件にとどまった。補助率が2分の1と低かったことも影響したとみられるが、受付期間がほぼ重複した2021年度補正予算の2次公募(631件)と合計しても、1次公募(1,033件)には満たなかった。

企業物価の上昇や日銀による長期金利の引き上げ容認などで中小企業の資金繰りが厳しさを増す中、事業承継・引継ぎ補助金のニーズは高まることが予想される。

同補助金の政策効果を最大化するためには、申請・採択数の底上げが不可欠だ。中小企業庁は2022年度に初のWEB説明会を実施したが、制度の周知に終わらない抜本的な施策が求められる。

文:M&A Online編集部

関連リンク:中小企業庁:令和3年度補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」(四次締切)の公募要領を公表します