経済産業省は8月31日、2022年度予算概算要求・税制改正要望を発表した。中小企業対策費に前年度当初予算比24.9%増の1,396億円を計上し、ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業(25億4,000万円)を新規で盛り込んだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえた法人版・個人版事業承継税制の検討も進める。
概算要求の総額は前年度当初予算比11.9%増の1兆4,026億円で、一般会計は同20.2%増の4,227億円。中小企業・小規模事業者関係は「事業再構築、承継・再生」を柱の1つに据えた。
中小企業再生支援・事業承継総合支援事業(159億1,000万円)は前年度当初額に64億1,000万円を上乗せし、事業承継・引継ぎ・再生支援事業も30億9,000万円の増額となった。
ものづくり等高度連携・事業再構築促進事業は、複数の中小企業などが連携することで新たな付加価値の創造などを図る製品・サービス開発を促進。新分野展開や業態転換といった事業再構築に取り組むプロジェクトを支援する。2020年度第3次補正予算で1兆1,485億円を計上した事業再構築補助金も、運用改善を図りながら継続する。
中小企業再生支援・事業承継総合支援事業では、各都道府県に設置された中小企業再生支援協議会や事業承継・引継ぎ支援センターを通じ、再生計画の策定や親族内承継支援、後継者不在企業と譲受希望者とのマッチングなどを実施する。
事業承継・引継ぎ・再生支援事業は「事業再生」を支援対象に追加。設備投資や販路拡大などの新たな取り組みを助けるとともに、引継ぎ(M&A)・再生時の専門家活用費などを補う。
このほか、長期化するコロナ禍に苦しむ中小企業などに必要な支援も事項要求し、具体的な取り組みについて予算編成過程で検討する。
中小企業・小規模事業者の事業承継をさらに推進する上では、事業承継ガイドラインの改訂や事業引継ぎ後の経営統合に関するガイドラインの策定などを行う。過剰な債務を負う中小企業・小規模事業者の事業再生に向けた私的整理などのガイドライン策定も検討する。
文:M&A Online編集部
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