人の名前が出てこなくなったときに読む本

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「人の名前が出てこなくなったときに読む本」松原 英多 著 ロング新書

「あ~、あの人誰だっけ?顔はおぼえているんだけど名前が出てこない」となったら、認知症の始まりだそうだ。認知症にはアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などさまざまあるが、本書は認知症患者の10~30%を占める「血管性認知症」の予防について平易に解説している。

正常の老化により認知機能が低下しているが「認知症」とまでは言えない「軽度認知障害」のうちに回復に向けた努力が必要だと著者は主張する。軽度認知障害では認知機能低下よりも記憶機能低下が主兆候となり、記憶障害はあるものの日常生活能力は保たれる。だが、「たかが物忘れ」と侮ることなかれ。軽度認知障害を放置すると、平均6〜7年で重度の認知症へ移行するといわれている。

そのためにも40~50代で「人の名前が出てこなくなった」時点で、対策を講じるべきなのだ。とはいえ、難しい話ではない。複雑な脳トレも不要だ。血液が血管をスムーズに流れるようにしておけばよいのである。

そのために「第2の心臓」と呼ばれる脚の筋肉を強化するスクワットやつま先立ち、1日15分のウォーキング、野菜を先に食べ最後に主食を食べるといった食事の改善、糖尿病の一般的な予防などを心がければ、軽度認知障害の進行を食い止められるという。

医師が書いた本だけに、認知症予防だけでなく健康な老後を送るための指南書になっている。壮年期から身体のケアを怠らなければ、認知症の発症を抑えるだけでなく、生活習慣病の予防にもつながるのだ。誰でも経験する「人の名前が出てこなくなったとき」こそ、自分の身体と向き合い、老後の健康について考える契機なのだ。(2018年3月発売)

  M&A online編集部