「合併・分離事典 オールジャンルの趨勢がチャートでわかる」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「合併・分離事典 オールジャンルの趨勢がチャートでわかる」造事務所編著、カンゼン刊

あらゆる物事は離合集散を繰り返して、今日の姿をなす。かつて大手銀行といえば、都市銀行、長期信用銀行、信託銀行を合わせて20行を超えたが、統合に次ぐ統合の末に3メガバンクにほぼ集約された。中央省庁しかり。22省庁から12省庁体制に再編され、早20年以上となる。

合併・分離事典

本書のタイトルは「合併・分離事典」。タイトルを一見すると、M&A関連の書物と見紛いそうだが、さにあらず。

守備範囲は企業、組織・団体にとどまらず、エンターテインメント、文化、スポーツ、歴史、宗教、学術まで多様なジャンルに及ぶ。ここでいう「合併」は併合、統合、吸収、合流、加盟・加入など、「分離」は解散、分裂、断絶などの幅広い意味を表す。

扱ったテーマは116項目。各項目につき見開き2ページで、物事の成り立ちからその後の変遷についてチャート図を添えて簡潔に解説している。

「文化・娯楽」「制度・組織」「教養・雑学」の3パートで構成する。全編を通じて真っ先に取り上げたのが「プロ野球チーム」。戦前のプロ野球草創期から、戦後2回起こった球界再編騒動を経て現在にいたる流れを知ることができる。

「文化・娯楽」編は各種スポーツをはじめ、茶道、華道、歌舞伎、日本舞踊、能、狂言、落語といった芸事、はてはラーメン、お好み焼き、犬、猫、金魚などもカバーしている。「教養・雑学」編では人類の進化、日本人、利根川水系、淀川水系などの学術的テーマが並ぶ。

「制度・組織」編は廃藩置県、平成の大合併から、政党、自民党派閥、企業・産業の再編、大学、神社、労働組合、指定暴力団まで、どちらかというと“硬派”なテーマを扱う。このうち企業・産業関連では銀行、自動車、オートバイ、私鉄、航空、海運、電力、石油、新聞社、映画などを取り上げている。

興味がわきそうなテーマがふんだんに盛り込まれているので、どこから読み始めても飽きない。(2022年12月発売)

文:M&A Online編集部