「競争の番人」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

「競争の番人」 新川帆立著、講談社

主人公の白熊楓は公正取引委員会に勤める29歳の女性審査官。公正取引委員会は、独占禁止法を運用するために設置された機関で、公正で自由な競争を促し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるように活動している。

物語は葬儀の場面から始まる。道路工事を受注したゼネコンが談合をして、順番に工事を受注できるように調整した疑いがあり、参考人として話を聞いていた工事発注者側の市役所の職員である豊島浩平が自殺したのだ。

競争の番人

白熊は葬儀の帰り道に、配置換えで女性管理職の桃園千代子の元につき、東大法学部を首席で卒業し、国家公務員試験も1位で合格した小勝負勉が米国留学から戻ってきて、白熊と同じチームに配属されることを知らされる。

新たなチームに配属されて1週間がたったころ、新しい事件の割り当てがあり、栃木県S市にある「Sクラシカルホテル」「温泉郷S」「ホテル天沢S」の3ホテルを、ウェディング費用の値上げ幅を3社が話し合って決めたカルテルの疑いで調査することになる。

調査中に「Sクラシカルホテル」社長の安藤正夫が刺され入院した。「Sクラシカルホテル」を調査する予定だった白熊と小勝負はホテルの駐車場で「ホテル天沢S」の社長の長男で次期社長の就任が確実視されている専務の天沢雲海の姿を発見。

車で移動する雲海を追跡し、車から降りた雲海が男に刺されそうになったところを、白熊と小勝負の2人が助けた。

雲海を刺そうとしたのは、S市で生花業を営む石田正樹だった。ここからホテルに出入りする生花店に対する納入業者いじめの実態や、生花店6店舗による共謀などが明らかになっていく。

作者は2021年に「元彼の遺言状」でデビューした新川帆立さん。デビュー作に続き、競争の番人もテレビドラマ化される予定だ。(2022年5月発売)

M&A Online編集部