数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識や教養として役立つ本も紹介する。

何が企業買収の成否を分けたか

M&Aアドバイザー(仲介業)とはどのような仕事なのか?この本を読めばおおよその内容がつかめる。これからM&Aアドバイザーを目指す人には大いに参考になる。もちろん企業経営者が読めば、M&Aを実施する際に失敗を回避できる可能性が高まる

本書は「M&Aアドバイザー」の書名とともに添えられた「企業買収と事業承継の舞台裏」の副題の通り、M&Aにかかわるきっかけから結末までの一連の流れをエピソードや感想などを交えながら紹介している。取り上げた事例は「大手メーカーの海外企業の買収」「中小企業オーナーの事業承継」「親会社から離脱して実施したMBO」の3つ。

それぞれ、交渉が破談(ブレイク)する危機に直面した場面で、当事者はどのように判断したのか、M&Aアドバイザーはどのように支援したのか、そして最終的にはM&Aの成否にどのようにつながったのかをまとめている。

本文中では「M&Aアドバイザーは単に手数料を取るだけの存在ではない。顧客のリターンの最大化、リスクの最小化のために全力で尽くす義務がある」と、M&Aアドバイザーの心構えを説いている。

さらに「M&Aアドバイザーの収入は成功報酬であり、通常受注したM&A案件のうち最終的に成約するのは半分以下である」とアドバイザーの収入の話題に触れ、「大型案件を着実に成約させることができるチームが多くの報酬を得ることになる」「優良顧客から常に案件の相談を受けるアドバイザーは安定的に相当額を稼ぐ」と紹介。そのうえで「顧客にとって最善の優れたサポートを継続的に行える力量が有るか無いかが最後の決め手になる」と結んでいる。

「海外企業買収」「事業承継」「MBO」の3つの事例は、著者の山本貴之氏が日本政策投資銀行のM&Aアドバイザリー部門に在籍中に経験した、数百件の買収や売却の事例を分析してまとめたもので、平易な文章で書かれており、新書判のため手軽に読める。

M&Aアドバイザー
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M&Aアドバイザー 企業買収と事業承継の舞台裏(エネルギーフォーラム新書)
著者紹介:山本貴之(やまもと・たかゆき)
価値総合研究所社長。前日本政策投資銀行執行役員企業戦略部長。1959年生まれ、東京大学法学部卒業。米国ジョージタウン大学法律大学院修士。983年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)入行。2017年から現職。

文:M&A Online編集部