「中小企業M&A 株式譲渡の税務」|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「中小企業M&A株式譲渡の税務」 村木良平著 きんざい刊

政府の中小企業M&A推進策でも目玉となる株式譲渡税制。以前は事業承継や企業売却で中小企業の株式を譲渡する際に納付しなければならない税金が高く、M&Aの足かせになっているとの指摘があった。そのため近年は様々な優遇策が打ち出され、中小企業のM&A件数も伸びている。本書は中小企業のM&Aで発生する株式譲渡の税務について解説した1冊だ。

中小企業M&A 株式譲渡の税務

実際の業務に必要な情報をコンパクトにまとめた税務会計の実務書で、税務会計の現場で働く人には必携のマニュアルといえる。図表もふんだんに盛り込んでおり、知りたい内容が一目で分かるようにビジュアル上の工夫もされている。

そのため専門家にとっては調べごとの時間短縮に、それ以外の人にとっては専門知識の理解を助けるのに、それぞれ役立つ。専門的な実務書ではあるが、決して難解な本ではない。

知識としてM&A税制を知りたいのであれば、総論の第1章「全体像と税務の基礎」を読んだ上で、各論となる第2章から第14章までのうち自分の興味がある部分を拾い読みすればよいだろう。

第14章までは税務で、最後の第15章「譲受企業の会計処理」のみが会計についての内容になっている。M&Aで中小企業を譲受した企業の決算上の処理についての解説で、中小企業の買収を検討している企業の財務担当者にとっては必読のパートだ。

新刊本だけに株式取得代金の70%を損金算入できることや、新型コロナ特例による欠損金の繰戻還付、譲渡企業への貸付金処理に「債権譲渡」が追記されるなど、最新の税制改正内容も盛り込んでいる。中小企業のM&A実務に関わる人なら、手元に置いておくべき本だろう。(2021年10月発売)

M&A Online編集部