大前研一の「100日」で結果を出すM&A入門

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 数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本も紹介する。

大前 研一 「100日」で結果を出すM&A入門

 タイトルの「100日」で結果を出すーとは、買収後100日以内に教育や組織改革などを済ませないと、相手側の意識を変えることができず、自分たちの考えるM&Aを実現するのが難しくなるーという意味。

 GEの前CEOであるジャック・ウェルチ氏が大前氏のM&Aを成功させる秘訣は何かとの質問に対し「100日で勝負する」と答えたことなどを紹介し、買収前からどのようにするのかを決めていないとうまくいかないと、日本企業に警鐘を鳴らす。

 さらに買収後の経営は自分たちでやる必要があり、その自信がないのであれば「買収など行わないほうがいい」ときっぱりと言い切る。

 このほかにも買収時のマイナスを見込んで成長シナリオを作る、M&Aを経営ノウハウの一部にするなど、M&Aを成功させるためのいくつかの条件を明示。合わせて日本企業のM&A成功事例や失敗事例を紹介して締めくくっている。

 大前研一氏のこの部分が第1章で、第2章は「二度の大型買収を成功させたJTのM&A手法」をテーマに、日本たばこ産業副社長の新貝康司氏がまとめ、第3章は「グローバルM&Aの先駆者、旭硝子の戦略」をテーマに旭硝子の取締役常務執行役員の宮地伸二氏がまとめた。

【プレジデント編集担当者のコメント】
日本企業の海外M&A成功率は、せいぜい5%程度とほとんどの企業が失敗しているが、M&Aの優等生も存在する。JTはギャラハーを2.5兆円で買収したが、買収開始から完了までをわずか100日でやり遂げた。M&A効果は絶大で、今や同社の海外事業が成長を支えている。富士フイルムや日本電産など、今やM&A巧者でなければ、企業の成功はおぼつかない時代になった。M&A成功の事例が数多く書かれている同書を、是非読んで欲しい。(担当編集:渡邉 崇)

文:M&A Online編集部