中小企業M&A の真実 決定版|編集部おすすめの1冊

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数あるビジネス書や経済小説の中から、M&A Online編集部がおすすめの1冊をピックアップ。M&Aに関するものはもちろん、日々の仕事術や経済ニュースを読み解く知識として役立つ本を紹介する。

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「中小企業M&Aの真実 決定版」 藤井一郎著 東洋経済新報社刊

「M&A」といえば、大手企業による大型買収が思い浮かぶが、現実には中小企業のM&Aが圧倒的に多い。正確な件数は明らかではないが、著者によると年間2万件程度のM&Aが実施されているのではないかと予想している。

本書はM&Aの大半を占める「中小企業M&A」についての解説書である。Q&A形式の構成で、全50問にわたって中小企業M&A市場の状況や売り手、買い手、M&A資金を提供するファンド、仲介会社について、それぞれ分かりやすく解説する内容だ。

中小企業M&Aの真実 決定版

「中小企業はどのように企業評価しますか?」「いつが会社売却のベストタイミングですか?」「買収するときの成功のポイントは何ですか?」「ファンドとはどのように交渉していくのですか?」「どのように自社に合う仲介会社を見分ければいいのですか?」など、具体的な内容となっている。

著者は「中小企業のM&Aについての誤解が多い」と嘆く。中小企業M&Aを正しく理解してもらうために、「ここまで書いていいものか」と思うような内容にまで踏み込んだという。

中小企業の社長には「経営者人生における有力の選択肢」として、買い手企業には「経営戦略の一つ」として、M&Aの活用を考える上で参考になる1冊だ。

ユニークなのはM&A仲介業界での就職を希望する人にも役立つこと。「求職者の立場から見て、仲介会社間でどのような違いがありますか?」「M&A仲介会社の給与体系はどうなっていますか?」といった内容にも踏み込んでいる。

M&A業界の全体を俯瞰(ふかん)している解説書でもあり、「読み物」としても面白い。興味があるテーマから「つまみ読み」をしても全く問題はなく、気軽に楽しめる。(2021年5月発売)

文:M&A Online編集部