【BNPパリバ】知っているようで知らない、外資系金融機関まとめ<6>

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外資系金融機関を知るシリーズの第6回はフランス発祥の世界的な金融グループの「BNPパリバ」です。ユーロ圏トップクラスの収益力を誇り、欧州はもちろん米国、アジアにおいてもその地位を確立しています。日本での歴史は幕末にさかのぼりますが、本格的なビジネス展開となると1970年代からです。

2000年に合併でBNPパリバが誕生

BNPパリバは2000年、パリ国立銀行(BNP)とパリバが合併して発足しました。その前年に統一通貨「ユーロ」が生まれましたが、通貨統合に伴い、欧州では金融再編の動きが加速しました。フランスでもBNP、パリバ、ソシエテジェネラルの3大メガバンクが合併のさや当てを繰り広げた挙句、BNPとパリバが一緒になりました。

BNPは1848年に創設された国立パリ割引銀行が始まりです。100年以上を経た1966年に国立商工業銀行と合併し、BNPとなりました。そして1993年民営化されました。一方、パリバは1872年に創設され、フランス有数の投資銀行として成長してきました。両者の合併でBNPパリバが誕生後も、2001年に米バンク・オブ・ザ・ウエスト(1874年設立)、2006年にイタリアのBNL(1913年設立)、2009年にベルギーのフォルティス(1822年設立)を買収するなど、欧州金融のリーダーとしての地歩を固めてきました。

欧州企業で初めて「パリバ」が東証に上場

BNPパリバの日本での活動はどうでしょうか。節目は1973年。この年、BNP東京支店が開設され、パリバは欧州企業として初めて東京証券取引所外国部に上場(1982年まで)したからです。これを機に、日本での陣容を拡充してきました。現在は700人を超えるスペシャリストが、コーポレートバンキング(貸出などの銀行業務)、投資銀行業務、資産運用、保険など多様なビジネスに携わっています。

法人向けのコーポレートバンキングと投資銀行業務についてはBNPパリバ証券、BNPパリバ銀行東京支店が手がけています。投資銀行業務というのは株式・債券の売買や引き受け、M&Aのアドバイザリー業務などをいいます。

資産運用を担うのはBNPパリバ・アセットマネジメントです。機関投資家向けに、オルタナティブ(代替)投資商品やストラクチャード商品、SRI(社会的責任投資)、新興国投資など、多様な運用ニーズに対応した投資ソリューションを提供しています。

いずれのサービスにおいても、グループの持つ最先端の金融技術や豊富な資金力、高い格付けに裏付けられた信用力がモノをいっているといえます。

保険業務はカーディフ生命保険、カーディフ損害保険が活動していますが、両社とも2018年4月に日本法人化したばかり(従来は日本支店)。BNPパリバの保険事業を担うBNPパリバ・カーディフに属しています。 

沿革(太字は日本での歩み)
1848 国立パリ割引銀行が創設
1867 国立パリ割引銀行、横浜支店開設(~1877年)
1872 パリバが創設
1907 パリ・オランダ銀行(後のパリバ銀行)、日本政府による欧州市場での外債発行に参画
1966 国立パリ割引銀行と国立商工業銀行が合併し、パリ国立銀行(BNP)となる
1968 パリ国立銀行、東京駐在員事務所開設。1973年東京支店に昇格
1973 パリバが東京証券取引所外国部に上場(~1982年)
1987 パリバ証券、東京支店を開設
1998 ビ・エヌ・ピー投信(現BNPパリバ・アセットマネジメント)を設立
2000 パリ国立銀行とパリバ銀行が合併し、BNPパリバが誕生
2004 BNPパリバ信託銀行(1999年設立)を東京都に売却(→新銀行東京となる)
2011 BNPパリバ証券東京支店が日本法人に
2018 カーディフ生命とカーディフ損保が日本支店から日本法人に

M&A業務では欧ライバル勢に後れをとる

歴史的に日本とのかかわりは幕末にさかのぼります。1867(慶応3)年、前身の国立パリ割引銀行が横浜

日本の拠点を置くビル(東京・丸の内)

支店を開設。生糸の輸入を目的とした為替業務を手がけたとされます。また、1907(明治40)年にはパリバが日本政府による欧州での外債発行に参画しています。日本を含むアジアでは現在、は域内14の市場で1万2000人が金融業務に携わっています。

投資銀行業務の花形の一つ、M&Aのアドバイザリー業務でも世界的に有力プレーヤーとして知られるBNPパリバですが、日本では今一つのようです。調査会社トムソン・ロイターは日本企業のM&Aに関するアドバイザリー業務の年間ランキング(上位25社)をまとめていますが、2013年に14位(金額ベースで5299億円)に名を連ねたのを最後に、ランキング外となっています。同じ欧州系のクレディ・スイス、UBS(スイス)、ドイツ銀行が常連組なのに対し、後れをとっているのが実情です。日本企業の海外M&Aが活発化する中、このあたりが課題といっていいかもしれません。

もう一つの顔…世界的なテニススポンサー

BNPパリバと聞いて、テニスを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。1973年に全仏オープンに協賛して以降、デビスカップ・フェドカップ、BNPパリバ・オープン、BNPパリバワールドチームカップ(車いすテニス)など数多くのメジャー大会のスポンサーを務めています。毎年3月に行われるBNPパリバ・オープンは第5のグランドスラムといわれる大会ですが、2018年大会では大坂なおみ選手がツアー初優勝したことで大きなニュースになりましたね。

また、各国のテニス協会を通じて2000のテニスクラブや550のアマチュアトーナメントを後援しています。日本でも全国選抜高校テニス大会などをサポートしていますので、BNPパリバの名前を目にする機会は多いはずです。

photo by JC

文:M&A Online編集部