まんがが小説を飲み込んだ。スマホ向けコミック配信サービス「まんが王国」を運営するビーグリー<3981>が、「ノベルバ」を展開するノベルバを完全子会社化した。
ビーグリーの売上高約91億円に対し、ノベルバの売上高は約2090万円で、業績に与える影響は小さそうだが、まんがの電子化率が50%なのに対し、小説などの文字ものの電子化率は5%と伸びしろには大きく、今後小説の急成長が予想される。
さらにノベルバにはアプリ開発力があり、まんが王国アプリの改善や新しいサービスの開発などに活用することができそう。
ビーグリーはノベルバの完全子会社化を機に、電子書籍ビジネスと、電子書籍以外の新しいビジネスを育て、2021年12月期には150億円の売上高を目指す。3年間で1.6倍に拡大する計算だ。
ビーグリーは2004年に設立したビービーエムエフがスタート。2006年に携帯電話向けのコミック配信サービス「ケータイ★まんが王国」を始め、現在の事業の骨格を作り上げた。
2011年にはスマートフォン向けのコミック配信サービス「まんが王国」を開始。2018年9月には会員数が150万人を突破。2018年10月には、ダウンロード数が累計で9億冊を突破した。この間2度のM&Aを実施し、ノベルバは3度目のM&Aになる。
年月 | 沿革と主なM&A |
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2004年10月 | ビービーエムエフを設立 |
2005年8月 | ジェイディスクを子会社化(2015年に清算) |
2006年4月 | 携帯電話向けにコミック配信サービス「ケータイ★まんが王国」を開始 |
2008年9月 | ニューを存続会社として吸収合併、商号をビービーエムエフに変更 |
2010年7月 | まんが王国累計1億冊ダウンロード突破 |
2011年11月 | スマートフォン向けコミック配信サービス「まんが王国」を開始 |
2014年5月 | MNHを存続会社として吸収合併、商号をmenueに変更 |
2014年9月 | 商号をビーグリーに変更 |
2017年3月 | 東京証券取引所マザーズに上場 |
2018年3月 | 東京証券取引所市場第一部へ上場市場変更 |
2018年9月 | まんが王国会員数150万人突破 |
2018年10月 | まんが王国累計9億冊ダウンロード突破 |
2018年11月 | ノベルバを子会社化 |
ここ数年、ビーグリーの業績は順調に伸びてきたが、2018年12月期は大幅な減益に陥る見通しだ。同社によると「テレビコマーシャルの効果が限定的であったことや、プロモーションの多様化施策の一部が不調だった」ことが原因という。
当初想定していた営業利益は12億4800万円だったが、5億2500万円に大幅下方修正した。売上高も当初見込みの102億7100万円を91億8000万円に引き下げた。
この結果2018年12月期は売上高で前年度比2.3%の微増収、営業利益は同53.4%の大幅減益となる。何とか増収は維持したものの、利益は3、4年前水準に戻ってしまった。
ビーグリーは今後、まんがと小説に加え、映画やアニメ、ゲームなどのコンテンツを拡充していく計画で、このために50億円を投じるという。まんがが次に飲み込むのは何になるのだろうか。
ビーグリーの業績推移
文:M&A Online編集部