スポーツ用品メーカーの「ミズノ」と「アシックス」がそろって過去最高を更新 WBC効果も

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写真はイメージです

大手スポーツ用品メーカーのアシックス<7936>とミズノ<8022>がそろって売上高と営業利益が過去最高益を更新した。両社では今期の業績予想でも2期連続の過去最高を見込んでおり、コロナ禍から完全復活を果たした格好だ。

アシックスは主力のランニングシューズが欧米やアジアなどの海外で好調に推移。ミズノは欧米や韓国などでゴルフ用品が好調だったほか、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の影響などで野球用品が伸びた。

新型コロナウイルスに関する行動規制などが無くなり、スポーツイベントの開催が容易になったことや海外でのスポーツ需要が高まっていることなどから、両社の好調さはしばらく続きそうだ。

欧米でゴルフクラブやランニングシューズが人気に

アシックスの2022年12月期の売上高は4846億100万円で、前年度比19.9%増えた。本業の儲けを示す営業利益は340億200万円で、同54.9%増加した。

日本では陸上競技、テニス、バレーボールなどの競技スポーツ用のシューズや復刻ブランドの「オニツカタイガー」が好調に推移。北米地域では、機能性を持たせたランニングシューズや、テニスなどの競技スポーツ用のシューズが伸びた。

欧州地域や中華圏地域では、スニーカーとして使用できるランニングシューズや機能性を持たせたランニングシューズなどが好調だった。

一方、ミズノの2023年3月期の売上高は2120億4400万円で、同22.8%増えた。営業利益は129億4500万円で、同31.1%の増益だった。

日本では野球、サッカー、バレーボールなどが、米国ではゴルフクラブや野球、バレーボールなどが好調に推移。欧州ではランニングシューズやゴルフクラブが、アジア、オセアニアでもゴルフクラブやランニングシューズなどが伸びた。

レース登録企業の買収も

今期についても両社は強気の見通しを立てており、アシックスは2023年12月期に5.2%の増収、8.8%の営業増益を見込む。アシックスが2023年5月10日に発表した2023年12月期第1四半期決算では前年同期比44.6%の増収、2.19倍の営業増益と大幅な増収増益を達成しており、前期の勢いはそのまま続いている状況だ。

ミズノの2024年3月期は6.1%の増収、15.9%の営業増益の見込み。日本や米国で景気の回復が続くと見て2ケタの営業増益予想を掲げた。

また両社は市場拡大のための施策も打っており、アシックスは2022年11月に、欧州でレース登録プラットフォームサービスを運営するフランスnjuko SAS子会社化した。欧州のランナーとアシックスブランドの接点を拡大することで欧州事業の強化につなげる。

同社ではすでにカナダやオーストラリアでも同様の企業を子会社化しており、今回の買収で全世界でのレース登録体制が整ったとしている。

ミズノはサッカー用品を強化し、野球やゴルフなどと並ぶ柱に育てる計画だ。2022年にプロサッカーのセルヒオ・ラモス選手(パリ・サンジェルマンFC)とアンバサダー契約を結んでおり、ラモス選手はミズノ製のサッカーシューズやアパレルを着用するほか、サッカー用品やアパレル品の宣伝、広報活動にも関わるという。



文:M&A Online