朝日・毎日新聞、読売に2年半遅れて値上げ 3大紙でついに初の「価格差」

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毎日新聞社東京本社(東京・竹橋)

朝日新聞、毎日新聞が7月から月ぎめ購読料を27年半ぶりに引き上げる。読売新聞は2019年1月に先行して値上げしており、2年半のタイムラグを経て、3大紙の購読料改定が出そろったが、ある「異変」が生じた。朝夕刊セット版は読売、朝日の4400円(税込み)に対し、毎日は4300円(同)となり、購読料の横並びが事実上、戦後初めて崩れたのだ。

毎日、読売・朝日を100円下回る4300円

朝日新聞は6月10日、毎日新聞は16日に7月からの値上げを発表した。両紙とも消費税増税時を除いて本体価格を引き上げるのは実に1993年12月以来ぶりだが、値上げ幅については今回、対応が分かれた。

朝夕刊セットの月ぎめ購読料は現在、朝日も毎日も4037円で同じ。ところが、ふたを開けると、新購読料は朝日が4400円、毎日が4300円。朝日はライバルの読売と同額としたが、毎日は100円安い価格設定となった。読売、朝日に比べ、部数や経営体力で劣勢にある毎日として、果たしてその決断が「吉」と出るのか。

読売、朝日、毎日の3紙は、戦後の混乱期を経て、朝夕刊のセット発行を再開。購読料は1952年(朝夕刊セット280円)以来、横並びが続いてきた。いずれかが値上げすると、時を置かずして同額の値上げを繰り返してきた。かつては、こうした状況を問題視した公正取引委員会が警告書を出したこともある。

今回は朝刊だけの統合版(夕刊発行がない地域)でも価格差が生まれた。こちらは毎日が3400円(現在3093円)と読売にそろえたのに対し、朝日が100円高い3500円。

新聞業界はインターネットの普及や現役世代の紙離れなどで販売・広告収入が減る一方、新聞製作・輸送・配達にかかるコストが上昇し、経営環境は厳しさを増すばかり。こうした中、根幹を担う戸別配達網も人件費増や労務難で弱体化が進んでいる。朝日は2021年3月期決算で441億円の巨額最終赤字(前期は106億円の黒字)に転落した。

購読料引き上げについて、朝日は「長年の経営努力が限界に達し、ご負担をお願いせざるを得ない」、毎日は「新型コロナウイルス感染拡大の影響で、経営努力による価格維持も限界となった」としている。

残る「産経」はどうする

全国の新聞発行部数(日本新聞協会調べ)は2020年10月時点で3509万部で、過去20年間で約1800万部減った。とりわけ、2018年以降は減少幅が年間200万部台に拡大し、20年までの3年間で700万部以上落ち込んだ。足元の3年で、読売(約715万部)が丸ごと、または朝日(約475万部)と毎日(約200万部)の合算に相当する部数が消失した計算だ。

読売に続く朝日、毎日の値上げにより、全国紙5紙で残るは産経新聞だけとなった。日本経済新聞は2017年11月にいち早く4509円から4900円に値上げ(23年ぶり)を済ませた。

産経の場合、東京本社管内は朝刊のみの発行(購読料3034円)で、かたや大阪本社管内は朝夕刊発行(同4037円)。8月からの購読料引き上げが有力視されているが、その際、販売が苦戦する東京本社管内分は購読料を据え置くとの観測も浮上している。

◎大手紙の購読料(7月1日時点、※値上げ予定、産経東京は朝刊のみ)

月ぎめ購読料 朝刊1部売り
読売新聞 4400円 150円
朝日新聞※ 4400円 160円
毎日新聞※ 4300円 150円
日本経済新聞 4900円 180円
産経新聞(東京) 3034円 120円
産経新聞(大阪) 4037円 120円
中日新聞 4400円 140円
東京新聞 3700円 120円
北海道新聞 4400円 150円
西日本新聞 4400円 150円

文:M&A Online編集部