アップル、今春の新製品は「マイナーチェンジ」で終わりそう

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米アップルが3月に開く定例の新製品発表イベントが迫ってきた。目玉になりそうなのはiPhoneの廉価版「iPhone SE」の第3世代。現行第2世代の投入から2年が経過し、新モデル投入が迫っているとの観測が広がっている。新型「SE」だけでなく、同じく廉価版の「iPad Air」第5世代の投入も有力視されている。いずれも基本性能は最新の上位モデルと同等で「サイフにやさしい」廉価版となるが、大胆なデザイン変更や新機能追加がない「マイナーチェンジ」に終わりそうだ。

サイズ、デザインは同じだが中身は一新される「SE3」

注目の「SE3」は現行機と同様に「iPhone8」の筐体を流用し、サイズや重量の変更はほとんどなさそうだ。「iPhone12」シリーズから小型モデルの「mini」が追加され、初代「SE」以来の「小型軽量のiPhone」としての位置づけは消えた。「SE3」は廉価版として開発・投入されることになるだろう。

円安で多少の値上げがあるかもしれないが、価格は5万円前後からとみられる。手頃な価格と相まって、ヒットモデルになるだろう。指紋認証センサー付きのホームボタンを残すなどデザインも現行「SE2」を踏襲することになるが、中身は一新。CPUには最新機の「iPhone13」シリーズと同じ「A15 Bionic」を搭載し、SEシリーズでは初めて5Gに対応する可能性が高い。

カメラは「13」シリーズや現行「SE2」と同じ1200万画素の背面シングルカメラに落ち着きそうだが、カメラ機能にこだわらないユーザーにとっては影響はあまりないだろう。ただ、Zoomなどのビデオ会議で使うフロントカメラは「SE2」の700万画素から、背面カメラと同じ1200万画素に改良される可能性がある。

iPhoneシリーズでは廉価版になる「SE」は基本機能の充実を最優先する(同社ホームページより)

「Air5」もマイナーチェンジの可能性が大だが…

「iPad Air」は現行の第4世代の投入から1年半。第4世代は第3世代の発売から1年7カ月後に投入されており、そろそろモデルチェンジの時期に入る。デザインは現行の「Air4」がホームボタンの廃止などで、最上位機の「iPad Pro」に近い形にモデルチェンジしている。「Air5」での大幅な変更はない。「SE3」同様、中身の一新に留まるだろう。

前回のモデルチェンジでデザインを一新した「iPad Air」(同社ホームページより)

「Air5」は今春発売なら、「13」シリーズと同じ「A15 Bionic」が搭載されるのは間違いない。すでに「iPad」シリーズでは、2021年9月に発売された現行「min」の第6世代が同CPUを採用済みだ。いわば格下モデルの「mini6」が採用しているCPUを半年後に発売される上位機種の「Air5」に搭載するわけにはいかない。

そのため「mini6」では2.93GHzだった動作周波数を「13」シリーズと同じ3.23GHzに引き上げ、処理能力を向上することになりそうだ。ただ「Air5」の発売を半年遅らせて、次世代CPUの「A16」シリーズを採用する可能性もある。

セルラーモデルでは5Gに対応するのは確実で、現在のシングルカメラがデュアルカメラに変更される程度の変更はあるかもしれない。上位機の「Pro」と同じ4スピーカー使用になるとの情報もある。それらが本当ならばフルモデルチェンジと言っていいだろう。CPUが「A15 Bionic」のままなら、「mini6」と差別化を図るために、そこまで踏み込む可能性はある。

半導体不足は現在も続いており、「mini6」や廉価版の「iPad」(第9世代)は発売から半年近くが経過した現在でも40日程度の納品待ちの状態だ。新たに投入される「SE3」や「Air5」は仮にマイナーチェンジだとしても、発表直後から品薄になるのは確実。買い替えを予定しているのなら、受付開始直後に予約を入れておきたい。

文:M&A Online編集部