「イオン」近づくコロナ越え まん延防止措置の影響は?

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写真はイメージです

大手スーパーのイオン<8267>によるコロナ越えが近づいてきた。同社が2022年1月12日に発表した2022年2月期第3四半期決算で、コロナ前の2020年2月期を上回るとしていた業績予想を、そのまま据え置いたため、コロナ越えが現実味を帯びてきたのだ。

ただ予想を現実のものとするためには、第4四半期に営業利益と経常利益を第3四半期までの累計の2倍以上に高めなければならず、当期損益は89億5600万円の赤字から最大300億円の黒字にまで、反転させなければならない。

第4四半期の3カ月間のうち半分近くが経過した時点での予想据え置きだけに、実現に向けた自信は強いとものと思われる。わずか3カ月で大幅な増益を見込む背景は何なのか。

カギ握る第4四半期

イオンの2022年2月期の営業利益は892億4500万円で前年同期比を31.0%上回り、経常利益も前年同期比42.2%の増益で、838億8900万円に達した。当期損益は赤字ながら前年同期(625億円9000万円の赤字)に比べると大幅に改善している。

据え置いた2022年2月期の業績予想は、売上高8兆6200億円、営業利益2000億-2200億円、経常利益1900億-2100億円、当期利益200億-300億円で、いずれも幅を持たせた予想の上限近くであればコロナ前の2020年2月期を上回る。

とはいうものの予想数字と第3四半期の業績には大きな隔たりがあり、予想を実現するためには今の第4四半期の業績が重要になる。

過去の第4四半期をみてみると、コロナ前の2020年2月期は、第3四半期に1030億8100万円だった営業利益は、通期では2155億3000万円に倍増しており、経常利益は933億7300万円が2058億2800万円に2.2倍になった。63億円を超える赤字だった当期損益は268億3800億円の黒字を確保した。

前年の2019年2月期も同様の傾向にあり、第3四半期の営業利益、経常利益は通期では2倍ほどになり、当期利益も大きく伸びている。

2021年2月期もこの流れが変わらないのであれば、業績予想に大きな狂いが生じることはなさそうで、大きな隔たりがあったにも関わらず数字を据え置いた理由はここにある。

着地点はどこ

新型コロナウイルスの変異株オミクロンの感染が、猛烈な勢いで拡大する中、政府は山口県や広島県などに加え、新たに東京都をはじめとする1都10県に「まん延防止等重点措置」の適用を検討している。

イオンの業績予想は営業利益、経常利益で200億円、当期利益で100億円の幅がある。下限に近づけば、コロナ越えは難しくなる。適用が見込まれるまん延防止等重点措置の影響はどの程度現れるのか。着地点はどこになるのか。コロナ越えは経済が動いている一つの証でもあるだけに、関心が集まりそうだ。

文:M&A Online編集部