「疲れたココロとカラダをリフレッシュ!」五月病に効く温泉3選

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入社、転勤、転職などで新生活が始まって1カ月、そろそろ心配になるのが「五月病」だ。五月病を防ぐには気分転換してストレスをためないのが一番。最も効果がありそうなのが温泉だ。日本人はもとより、最近では海外から日本の温泉を訪れる観光客も多い。そこで編集部が気分転換やストレス発散に効能がある温泉を3つ選んだ。いずれも日帰り入浴が可能なので、ゴールデンウィークにちょっと足をのばしてみてはいかがだろうか。

1、買収王の「夢の跡」をしのぶ 奥道後 壱湯の守(松山・奥道後温泉)

奥道後温泉
西日本最大級の源泉かけ流し露天風呂(同温泉ホームページより)

松山の温泉といえば、夏目漱石の小説「坊つちやん」にも登場する道後温泉本館。東京から中学教師として松山に赴任した主人公が「ほかの所は何を見ても東京の足元にも及およばないが温泉だけは立派なものだ」と評価するだけあって、観光客は引きも切らない。さて、道後温泉を楽しんだら、奥道後温泉にも足を伸ばしたい。

奥道後温泉は、造船所や新聞社など業績が悪化した企業を次々と買収してよみがえらせた「再建王」の坪内寿夫氏が開発した新興温泉地。広大なジャングル温泉やホテル、娯楽施設、ロープウエー(現在は運休中)などを整備し、大いに賑わった。四国では珍しい良質の硫黄泉。湧出量は毎分400リットルと豊富なので、浴槽は全て源泉掛け流しだ。

奥道後温泉に野球場を建設して四国初のプロ野球球団を創設する構想もあり、当時の南海や近鉄が坪内氏に球団買収を持ちかけていたという。1980年代半ばの造船不況で坪内グループの主力事業だった造船所の経営が傾くと、球団構想は立ち消えになった。奥道後温泉は再建王の「夢の跡」でもある。

昭和の面影を残していたジャングル風呂は撤去され、現在では西日本最大級の大露天風呂にリニューアルされている。もちろん泉質はそのままだ。道後温泉はすべて屋内浴場だが、奥道後温泉は露天風呂が中心。松山を流れる石手川上流の谷あいに広がる豊かな自然に囲まれ、リラックスできること請け合いだ。地元では「道後温泉よりも泉質がよい」とも評価されている。

奥道後温泉(夜景)
夜の奥道後温泉。背景に運休中のロープウエーが見える(同温泉ホームページより)

アクセスは伊予鉄バスで松山空港から約1時間、JR松山駅から約40分。道後温泉本館経由の場合は徒歩5分の子規記念館前バス停からせとうちバスで約9分、奥道後バス停下車。ホテル宿泊者は道後温泉駅から無料送迎バスが利用できる。

【泉 質】アルカリ性単純硫黄泉
【効 能】神経痛、関節痛、五十肩、慢性消化器病、慢性婦人病、糖尿病、高血圧症など

2、不思議な「浮遊感」を味わえる 別府温泉保養ランド(別府・明礬温泉)

泥湯
露天で泥湯を楽しめる(別府温泉保養ランドホームページより)

源泉数、湧出量ともに日本一といわれる別府温泉で、「泥湯」といえばここ。美肌効果が高いコロイド湯と呼ばれる白濁色の温泉や蒸し湯もあるが、一番のおすすめは泥湯(鉱泥浴場)。露天泥湯は女性専用区画がある半混浴だが、屋内の泥湯は男女別なので、混浴が苦手な人も安心だ。

泥湯は普通の温泉よりも比重が重いため浮力が大きく、入浴すると不思議な浮遊感が味わえ、心身ともにリラックスできる。底の泥をすくって顔や上半身をパックするのもよい。

泥湯の泥は腐植粘土層が温泉で溶けだしたもの。湧出する泥(鉱泥)に植物由来の有機物が混入しているうえ、屋外の落ち葉もあって「ゴミが多い」「大量の髪の毛が混入している」との口コミが散見されるが、実際には「木の葉やワラのような植物の繊維が大半で、髪の毛はほとんどない」との指摘も。

異物の混入が気になる人は、落ち葉が入らない屋内泥湯へ。ただし、地下にあるため薄暗く、圧迫感がある。泥湯で静かに自分自身と向き合いたいのなら、むしろおすすめ。昭和レトロ感たっぷりの建物も、最近のオシャレな温泉とは違う安心感を与えてくれる。

地下鉱泥浴場(男女別)
男女別の屋内泥湯もあるので、女性も安心(同ホームページより)

アクセスはJR別府駅西口より亀の井バスの立命館大平洋大学行きか安心院(あじむ)行き、サファリ行きで約25分、紺屋地獄前で下車。

【泉 質】酸性明緑礬泉、硫黄泉
【効 能】リュウマチ、糖尿病、アトピー、水虫、ヘルニア など

3、熱い湯もぬるい湯もお好み次第! 鹿の湯(栃木県那須町・那須温泉)

鹿の湯入口
手負いの鹿を追って見つかったと言われる「鹿の湯」(同温泉ホームページより)

温泉で気になるのは、お湯の温度。指先をつけられないぐらい熱い温泉から、風邪をひくのではないかと不安になるぐらいぬるい温泉まで、さまざま。入る人の好みもバラバラで「全身が真っ赤になるほど熱い湯でないとダメ」という江戸っ子爺さんのような人もいれば、「ぬる湯でのんびり長時間入っていたい」と半身浴感覚の人もいる。口コミなどの情報を頼りに「ぶっつけ本番」で温泉に入るしかないが、「熱い湯」派と「ぬるい湯」派の人たちが一緒に温泉を楽しむのはまず無理だ。

しかし、すべての人が快適な温度の湯を楽しめる夢のような温泉がある。「九尾の狐」伝説で有名な観光名所「殺生石」のそばにある共同浴場「鹿の湯」がそれ。西暦630年ごろに郡司の狩野三郎行広が狩りで山中に分け入ったところ、手負いの鹿がこの温泉で矢傷を癒しているのを見つけた逸話から「鹿の湯」と名づけられたという。

浴場内には41、42、43、44、46、48℃(48℃は男湯のみ)の浴槽があり、好みの温度を選んで入浴する。男湯で46度、48度の温泉に入るのは高齢者が多い。これだけ高温の湯が楽しめる温泉は珍しく、親孝行にも良さそうだ。熱い浴槽では「腰まで1分、胸まで1分、首まで1分」を繰り返す短熱浴がおすすめ。実はこの入浴法が鹿の湯の効能に最も効果的という。

熱い湯でのぼせないコツは「かぶり湯」。かぶり湯槽のふちにひざを近づけて、ひしゃくで温泉の湯をくみ、頭を下げて静かにかぶる。大人で200回、子供で100回というから、じっくり腰をすえてかぶろう。のぼせや湯あたりによる吐気の防止に加え、頭痛や肩こり、首のこりなどの解消に効果があるというから、かぶり湯とはいえ立派な「入浴」だ。こちらも忘れずに体験したい。

建物は明治時代、玄関は大正時代の建造当時のままに改築されているため、古き良き時代の湯治気分が味わえる。昭和より古い明治・大正期のレトロな温泉を楽しみたい人には最適だ。

鹿の湯の浴場
明治のレトロな浴場で、さまざまな温度の温泉が楽しめる(同温泉ホームページより)

アクセスはJRの黒磯駅または那須塩原駅から東野交通の那須湯本温泉行きバスで約28~43分、湯本2丁目バス停下車。

【泉 質】単純酸性硫黄温泉(硫化水素型)、酸性低張性高温泉
【効 能】神経痛、運動麻痺、慢性消化器病、糖尿病、高血圧症、動脈硬化症など

文:M&A Online編集部