調剤薬局業界をめぐっては、薬価・調剤報酬の引き下げや、電子処方箋・オンライン服薬指導の導入といった医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展などで経営環境が厳しさを増している。日本調剤はこうした環境変化に対応するには外部の知見や資本連携が不可欠と判断、アドバンテッジパートナーズ(東京都港区)によるTOB(株式公開買い付け)を受け入れて株式を非公開化する。
TOBは、2024年7月初旬までに創業者の三津原博会長と長男で筆頭株主の三津原庸介前社長から、「保有株式の第三者への売却を検討している」との連絡が日本調剤に入ったのがきっかけ。創業家主導のTOBと言える。
アドバンテッジは、北米やアジアのヘルスケア分野で20年以上の投資経験を持つ専門投資会社LYFE Capital Investment Management Ltdの出資も得て、日本調剤の事業価値を最大化する方針。
買付主体はアドバンテッジが設立した買収目的会社のAP86(東京都港区)。買付価格は1株につき3927円で、公表前営業日の終値3600円に対して9.08%のプレミアムを加えた。買付予定数は2414万6179株で、下限は46.95%にあたる1407万8200株。買付代金は948億2200万円。
買付期間は2025年8月1日~9月16日までの31営業日。決済の開始日は9月24日。公開買付代理人は大和証券。日本調剤はTOBに賛同し、株主に応募を推奨している。
三津原庸介氏(所有割合22.17%)を含む創業者一族は、所有する株式42.64%についてTOBに応募する。株式19.48%を所有する創業者一族の資産管理会社マックスプランニングはTOBに応募せず、TOB終了後にアドバンテッジが同社を子会社化する形で間接的に日本調剤の株式を取得する予定。一連の取引総額は1177億6200万円となる。