国と東京都のM&A支援策が始動 補助金公募へ

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国が事業承継・引継ぎ補助金を公募

中小企業庁は6月11日、中小企業などを対象とした2020年度第3次補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」の1次公募を始めた。M&Aに係る専門家などの活用費用を補助する「専門家活用型」と承継後の新たな取り組みを支援する「経営革新型」の2類型で、7月12日まで受け付ける。

新型コロナウイルスの緊急経済対策として2021年1月に新設された同補助金は、既存の事業承継補助金と経営資源補助金を集約化した。専門家活用型は「買い手支援型(Ⅰ型)」と「売り手支援型(Ⅱ型)」に分かれ、いずれも補助額400万円(補助下限額50万円)、補助率は対象経費の3分の2以内となっている。

Ⅰ型はM&A支援業者への手数料やデューデリジェンス(DD)、企業概要書作成などに要する専門家費用などが対象経費。Ⅱ型は廃業登記費や在庫処分費、解体費、原状回復費が含まれ、これらの廃業費用には補助額を200万円まで上乗せする。

また、経営革新型には「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」があり、事業承継・引継ぎ後の設備投資、販路開拓費用などを支援。補助率は専門家活用型と同じで、補助上限額は創業支援型と経営者交代型が400万円、M&A型は800万円(いずれも補助下限額100万円)。廃業費用には200万円を加算する。

公募後に提出する申請書は、インターネットを利用した電子申請(Jグランツ)のみで受け付ける。交付決定日は8月中旬の予定で、事業実施期間は最長で12月31日。2021年度の2次公募は1次公募締め切り後の7月中旬~8月中旬を見込んでいる。

都は事業承継支援助成金を募集

一方、東京都と東京都中小企業振興公社は6月8日、都内中小企業を対象とした2021年度の事業承継支援助成金の第1回募集を開始した。M&A仲介会社など外部専門家への委託経費の一部を負担する。7月16日まで申請を受け付けている。

助成対象は都内で2年以上営業(登記必須)し、事業承継・再生支援事業などの支援を基準日(第1回募集は4月1日)から1年以内に受けていること。対象事業はA~Dの4タイプに分類され、後継者未定のAタイプは第三者への事業承継(M&Aなど)に向けた譲渡側企業の取り組みやM&A仲介会社とのアドバイザリー契約に要する経費などを支援する。

さらに、財務、税務、法務のDDに必要な外部専門家への委託経費、後継者候補の確保に向けた人材紹介会社のサービス利用経費もサポートする。

Bタイプ(後継者決定)は後継者への事業承継(譲渡)、Cタイプ(企業継続支援)は事業承継・経営・改善など、Dタイプ(譲受支援)は取引先の事業または株式の譲受に向けた取り組みに対して助成する。

4タイプとも助成限度額は200万円(申請下限額20万円)で、助成率は対象経費の3分の2以内。交付決定日(2021年9月1日予定)から最長8カ月を助成対象期間とする。2021年11月~12月に第2回の申請受け付けを予定している。

文:M&A Online編集部

関連リンク:

中小企業庁:令和2年度第3次補正予算「事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用)」の公募要領を公表します (meti.go.jp)
事業承継・引継ぎ補助金公募要領(専門家活用型)一次公募
事業承継・引継ぎ補助金公募要領(創業支援型 経営者交代型 M&A型)
事業承継支援助成金 募集開始|東京都 (tokyo.lg.jp)
令和3年度 第1回事業承継支援助成金 | 事業 | 東京都中小企業振興公社 (tokyo-kosha.or.jp)